折り返しとなった今節は、秋田ノーザンハピネッツに1勝1敗でようやく10勝目(22敗)を挙げた。勝利したほとんどの試合は失点を70点以下に抑えており、やはりディフェンスが鍵を握る。
今村自身の役割にも変化が見られ、「フォワードよりもポイントガードとシューティングガードの役割の方が多くなっています。今後を考えても、挑戦していかなければいけないです」とポジションアップし、来シーズンから外国籍選手を1人増やせるアジア枠のレギュレーション変更に対応するための準備をはじめていた。
五十嵐圭と柏木真介の経験豊富なベテランガードがおり、「先輩方からのアドバイスを受け入れながらプレーすると、パスを裁けるポイントはいくつもあるんだな、と試合をこなす中でどんどん分かってきており、そこはプラスになっています。もう少し精度を上げていくことが、今の自分の課題です」という今村は良いアシストも見せはじめている。
昨シーズンは6試合(CSも含め)の出場に留まったため、比較対象にはできない。2018年の夏、日本代表に選出されながら軽率な行為で1年間の公式戦出場停止の処分を受け、新人王も狙えたルーキーシーズンを棒に振った。特別指定選手ながら42試合、平均20分を出場した2シーズン前を参考にすれば、アシストは平均0.7本から2.7本へと増えている。
「特別指定のときは自分のことだけで精一杯でした。昨シーズンはコートに立てなかったですが、試合を見ることはできました。中地区首位となり、どうやってチームが勝っているのかを見ながら学ばせてもらった部分も大きかったです。それが今シーズンのアシストにつながっており、その部分をもっと生かしていければ、自分としてもチームとしても良い循環で回していけると思っています」
ベテランと若手しかいない中で求められるアグレッシブさ
新潟のロスターは24歳以下が6人、30歳以上が7人おり、その間の世代がいない。だからこそ若い選手たちは、「アグレッシブにアタックしていかなければいけないと思っています。ゲームをコントロールしてくれる先輩はいるので、その中で自分がどれだけアグレッシブに攻めながら、強みである得点力を生かしていかなければいけないです」と今村は自覚しており、まもなく一皮剥けそうだ。
ベテラン勢が活躍する新潟だが、リーグ全体を見ても41歳の竹田謙(横浜ビー・コルセアーズ)や35歳の佐藤公威(島根スサノオマジック)、39歳の寺下太基(熊本ヴォルターズ)ら新潟から巣立った選手たちも息が長い。庄司ヘッドコーチの答えは明確だった。
「20年の中でいろんな経験を経て、それがあるからこそ新潟から旅立ち移籍した選手、また引退した選手もコーチとしてそれぞれ活躍できている。それもゼロから1にしたプロチームで踏み出したことで、良いことも悪いことも様々なことを経験しているからこそ。20周年は素晴らしく、本当にすごいことだ」
20周年を迎えた新潟のアニーバーサリーイヤーは、はじまったばかりである。
文・写真 泉誠一