part1「アメージングな全米制覇」より続く
夢が叶った瞬間
2016年にビラノバ大学で優勝した後、ダニエル・オチェフはドラフト外ではあったがワシントン・ウィザーズと契約する。サマーリーグに出場し、「そこからNBAにつながっていった」。2016-17シーズンのウィザーズは熱狂した年である。49勝33敗と2010年代の最高勝率を収め、プレーオフへ進出。アトランタ・ホークスを破って1回戦を突破する。ボストン・セルティックスとのカンファレンス・セミファイナルに敗れたが、がけっぷちに立たされながらも巻き返し、7戦目までもつれ込んだ。今シーズンよりウィザーズにやって来たアイザイア・トーマスにやられたことを思い出す。
ルーキーシーズンは23試合に出場し、プレーオフのコートにも立った。「プレーオフになると、自ずとインテンシティが上がっていくんだ。選手だけではなく、コーチも含めたチーム全員が集中してゲームに臨むことができていた。また、(ワシントン)D.C.の街中もすごく盛り上がっていたのを覚えているよ」とチームの好調とともに、変化していく空気感を感じ取る。
ジョン・ウォールをはじめ、当時のチームメイトだったマーキーフ・モリスやマーチン・ゴータットらベテラン選手たちからは、「身体のメンテナンスの仕方を参考にしていた。何を食べたり、飲んでいるかであったり、ヨガをしたり、モビリティのドリルは何をしているのか、練習後のトリートメントやマッサージなど長いシーズンを戦う中でどう身体をケアしているのか。その方法だけではなく、なぜメンテナンスが重要なのかを目の当たりにすることができた」とスター選手たちが活躍するヒントを最前線で吸収する。ウィザーズでプレーした1年間は平均3.9分間の出場にとどまったが、全てが貴重な経験であり、現在の成長につなげている。
翌年もウィザーズの一員としてサマーリーグに出場したが契約には至らず、その後の2シーズンはGリーグで戦っていた。現在、ウィザーズ傘下のGリーグチームであるキャピタルシティGOGOには、「同じメリーランド州出身なので、兄弟のように仲が良い」というビラノバ大学のチームメイト、フィル・ブースが活躍している。
「ずっとNBA選手になりたいと思ってバスケを続けてきたわけであり、NBAのコートに立つことができたのは本当にうれしかった。本当に夢が叶った瞬間だったよ」と当時の気持ちを思い出す。