来年2020年には東京でオリンピックが開催され、スペイン代表はすでにその出場権を得ている。ワールドカップのメンバーには選出されなかったが、セバスチャンはまだその座をあきらめたわけではない。
「バスケットプレーヤーに限らず、アスリートにとってオリンピックに出ることはひとつの目標だと思う。しかもそれが今、自分が戦っている日本でおこなわれるんだ。そこで代表選手に選ばれることは人生のなかでもなかなかない経験なので、もちろん狙っているよ」
そのためには今をどう重ねていくかが大事になる。セバスチャン同様、ワールドカップ優勝組もオリンピックでのプレーを望んでいるだろうし、スペイン国内をはじめ、世界各国でプレーするスペイン国籍の選手たちもその座を狙っているはずだ。日本でプレーしているからといって、それ自体がストロングポイントにはならない。チームメイトよりも先に、もしくは一つでも多く、オリンピックの会場となるさいたまスーパーアリーナでプレーできるという経験上のメリットはあるが(年明けの天皇杯にもSR渋谷は出場する)、それも世界のトップクラスの選手たちには大きな問題にならないだろう。
ならば、SR渋谷でよりよいパフォーマンスを見せるしか代表復帰への道はない。
むろん代表に復帰することだけがセバスチャンの夢ではない。外国籍の選手がよく口にする「パーフェクトなプレーヤー」を目指すことが彼の究極の夢だ。
「個人的にはもっともっと成長していって、できるだけ完璧な選手を目指してキャリアを歩んでいきたい。そのためにはタイトルを獲ること。今であれば日本でそれを獲ることが大切だと思っている。そうしてバスケットのキャリアを終えて、それを見返したときに記録が残っていると、このときはこのタイトルを獲った、じゃあ、次はこのタイトルだとボク自身が歩んできたプロセスになる。だからまずはSR渋谷でBリーグのタイトルを獲りたいんだ」
Bリーグからスペイン代表へ。そして2019年のマルク・ガソルがNBAとワールドカップでそうなったように、セバスチャン・サイズは2020年にBリーグとオリンピックでチャンピオンを目指す。そのためならどんなことでもするつもりだ ─── 。
サンロッカーズ渋谷 #2 セバスチャン・サイズ
part1「驚異のウイングスパン231センチ! SR渋谷に降臨したWarrior」
part2「タフな戦いだからこそ充実した日々がある。」
part3「Bリーグからスペイン代表へ、そして東京オリンピックへ」
文 三上太
写真 安井麻実