そうして着実にステップアップしてきたセバスチャンは2013年、19歳のときにU19スペイン代表に選ばれ、同世界選手権を戦っている。結果は5位。その後もU20スペイン代表として、同ヨーロッパ選手権に出場し、2013年には銅メダル、2014年には銀メダルをそれぞれ獲得している。
そして2017年、ついにスペインのA代表からも声がかかった。
「NBAのサマーリーグに参加しているときに(スペイン代表の)セルヒオ・スカリオーロヘッドコーチから電話をもらったんだ。忘れもしない、場所はマイアミだよ。サマーリーグの試合がまだ数試合残っているときだったんだけど、電話をもらったときのことは今も鮮明に覚えているよ。夢が叶った気分だったね。小さいころからテレビで見ていた選手たちと一緒にプレーできることが本当に素晴らしい気持ちだったんだ」
実際の練習に参加しても、ワクワクが止まらなかった。“ラ・ボンバ”の愛称で知られ、スペインの至宝ともいうべきファン・カルロス・ナバーロ(2018年に現役引退)と1対1ができるなど、練習のなかで高いレベルの競争ができる環境にセバスチャンは興奮を覚えた。
結果的に今年9月に中国でおこなわれたワールドカップには参戦できなかったが、そのヨーロッパ予選にはスペイン代表として出場している。そしてともに戦ったチームメイトたちが世界一の称号を勝ち取った。出場は叶わなくても、晴れやかな気持ちだとセバスチャンは認める。
ただ彼はスペイン代表の強さを、けっしてタレント(選手)の力だけではないと語る。マルク・ガソルがいて、リッキー・ルビオがいて、ルディ・フェルナンデス、セルヒオ・リュルらがいても、彼らだけの力で勝ったわけではないというのだ。
「コーチが大きな要因だと思う。タレント(選手)だけでは勝てないから、コーチが選手にお互い競争心を持たせている。そうした姿勢に加えて、コーチと選手が同じ方向に向くようにする、その持っていき方が本当に素晴らしいと思う」
どこか今シーズンのSR渋谷を彷彿とさせるものがある。伊佐コーチの指揮の下、選手たちが互いを高め合いながら、ひとつの方向に向いている。セバスチャンが初めて来日して練習場で目の当たりにした光景は、彼がスペイン代表の練習で感じたものと同じだったのかもしれない。