part2「悪かったときの経験を全てプラスに変えてステップアップ」より続く
世界と戦うことが楽しいセルビア代表
「Honesty」という言葉から、ミラン・マチュワンはNBAにドラフトされた当時を語りはじめた。
「正直、キャブスからドラフトはかからないと思っていました。逆に、2009年のナイキ・フープ・サミットに選ばれたときは1巡目でドラフトされるかもしれないと期待をしていました。実はキャブスにドラフトされる前、NBAの3チームから合同トライアウトの打診がありました。しかし、セルビア代表の活動に専念しなければならない時期だったために参加できませんでした。その後、マッカビ・テルアビブ(イスラエル)のデビッド・ブラットがキャブスのヘッドコーチ(2014-15)を務めたときもチャンスがあったかもしれません。いろいろ考えましたが、NBAは絶対に行きたい場所という思いはなくなっていました」
ヨーロッパには同等レベルのユーロリーグがあり、セルビア代表として国際大会に出場すれば、NBAでは得られない使命感が味わえる。「競い合う全てにおいて、それぞれ違いがあります。NBAには世界トップクラスの選手が集結し、そこでプレーすることも楽しかったと思います。でも、セルビア代表として世界と競い合うことも、それとは違う楽しさがあります」と充実していた。
今夏のワールドカップにマチュワンは選ばれなかったが、セルビアは優勝候補として出場。順調に白星を重ねていたが、予選2次ラウンド最終戦で優勝したスペインに69-81と初黒星を喫する。決勝トーナメントはアルゼンチンと準々決勝で対戦。しかし、87-97と早々に敗れ、順位決定戦にまわった。同じく準々決勝で敗れた手負いのアメリカを94-89で退けると、最後はチェコを90-81で倒し、FIBAランキング6位を上回る5位で大会を終えた。その戦いぶりに対するマチュワンの見解を聞けば、「今回のセルビアはベストチームでした。でも、大会後にいろんな選手とも話をしましたが、問題はケミストリーの部分であり、選手間での意思疎通が欠けていました」と納得のいく結果ではなかった。
現在、来年のオリンピックが開催される東京にマチュワンはいる。「2020年もオリンピックの舞台に立ちたい気持ちはもちろんあります。できることならばセルビア代表に入りたいですし、それはとても光栄なことです」と意欲を見せる。