場数を踏み、様々な経験をしながら実績を積み上げて行く。19歳のときに初選出されたセルビア代表でも全9試合出場し、デビュー戦となったスペイン戦では8点を挙げ、66-57で勝利に貢献する。ミロシュ・テオドシッチ(元LAクリッパーズ、現イタリア/ヴィルタス・ボローニャ)やネマニャ・ビエリツァ(サクラメント・キングス)らがチームメイトである。相手のスペインは、2006年に日本で開催された世界選手権(現ワールドカップ)で世界一になったパウ&マークのガソル兄弟にファン・カルロス・ナバーロらがおり、マチュワンと同世代のリッキー・ルビオが加わった。そんな世界トップレベルのメンバーの中で揉まれてきた。
プロとして、セルビア以外にもイスラエルやトルコ、イタリアなどヨーロッパの主要リーグでのプレー経験を持つ。21歳、はじめて母国を出てイスラエルのマッカビ・テルアビブへ移籍した2010-11シーズン、いきなりユーロリーグのファイナルへ進んだ。「しかし、チャンピオンになることはできませんでした。バスケットボールを仕事とすることの難しさや、その責任に対する重みを背負ってプレーしなければならないことを実感し、プロ意識を学ぶことができました」と悔しい経験を糧とし、ステップアップする。
「良いときよりも悪かったときの方が自分にとってはプラスになっています」
一番つらかった時期を聞けば、同じくイスラエルでプレーしたときを挙げ、「海外経験が浅い中、他の国でプレーすることもはじめてで戸惑いも多かったです」と苦しい船出でもあった。その苦難を乗り越え、頭角を現したマチュワンは2011年、NBAクリーブランド・キャバリアーズから2巡目24位指名でドラフトされた。
part3「世界と戦うことが楽しいセルビア代表」へ続く
文 泉誠一
写真 吉田宗彦