予選では善戦したセルビアだったが、尻上がりにチームとしてまとまっていったスーパースター軍団に30点差をつけられ、66-96で圧倒された。マチュワンは16分間の出場で11点を挙げ、ネマニャ・ネドビッチ(イタリア・EA7エンポリオ・アルマーニ・ミラノ)の14点に次ぐ、2桁得点を記録している。「本当に素晴らしい経験でした。メダルを獲得することが自分にとっての夢でもありました」と敗れはしたが、見事に銀メダルを手にし、オリンピックの表彰台に立った。
「セルビアのナショナルチームはU12からキャンプがはじまり、そこにピックアップされたことが全てのはじまりでした」というマチュワンは、FMPベオグラードのジュニアチームからキャリアをスタートさせる。ジュニアユース、ユースで順調に成長し、各世代の代表キャンプに招集され、U16ヨーロッパ選手権では平均18.8点、9.8リバウンドを挙げ、その才能を開花させていく。18歳のとき、飛び級でU19セルビア代表に選出された。その年、地元開催となったU19ワールドカップでは、アメリカを破って世界一に輝いた。その快挙について、マチュワンはこう振り返る。
「アメリカの選手たちはまだ大学生であり、我々はすでにプロでした。その経験の差を生かすことはできたと思います。しかし、個人の差を比較すれば、マイケル・ビーズリーやディアンドレ・ジョーダン、もちろんステフィン・カリーの方が能力もスキルも格段に上です。組織的なプレーやチームとしての戦いは我々の方が一枚上手だったとともに、ホーム開催だったことも大きな要因でした」
セルビアでは18歳からプロ選手として契約できる。Bリーグで言うところの特別指定選手のように、マチュワンは17歳からトップチームでプレーしてきた。
part2「悪かったときの経験を全てプラスに変えてステップアップ」へ続く
文 泉誠一
写真 吉田宗彦