アルバルク東京vsシーホース三河戦は、旧リーグのトヨタvsアイシン時代からライバル関係にあり、しのぎを削り合ってきた。
今シーズン初対戦はホームのA東京が2連勝し、チャンピオンのプライドを保つ。
Bリーグを2連覇し、今シーズン開幕直前に行われたアジア・チャンピオンズカップを制し、アジアの頂点へと導いたアルバルク東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ。旧リーグで7度優勝の実績を持つシーホース三河の鈴木貴美一ヘッドコーチ。二人の指揮官、それぞれに哲学がある。
「8人でも自分たちのスタイルを貫き通す」ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチ
日本代表3人を擁し(安藤誓哉、竹内譲次、田中大貴)、開幕直前に馬場雄大(テキサス・レジェンズ)がNBAへ挑戦するために巣立って行った。なかなか選手が揃って練習ができないまま、アジア・チャンピオンズカップに突入。9人で戦い抜いて優勝したのが1ヶ月前であり、帰国して5日後にはBリーグの開幕を迎えた。開幕直前の練習でザック・バランスキーが負傷、その後はジェフ・エアーズ、小島元基とケガ人が相次ぐ。そのために9人しかベンチに入れない試合が続いている。Bリーグ規約・規定でのエントリーは10〜12人と定められており、規約違反であることが指摘され、厳重注意を受けている状況だ。ケガをしているバランスキーを含めたロスターであり、実際には8人しか動ける選手はいない。
「8人でも自分たちのスタイルを貫き通す。スタンダードレベルを下げてはならない」というのが、2連覇を成し得たパヴィチェヴィッチヘッドコーチの哲学である。
昨シーズンの得点王であるダバンテ・ガードナーを獲得し、日本人トップの金丸晃輔を擁するオフェンス力を誇る三河を上回って勝利を挙げた。「2戦ともハイスコアゲームでオフェンスはスムーズにできていたと言える。ピック&ロールから崩してプレーするのが我々のスタイルだが、相手がディフェンスで対応する中、しっかりと見えていた」とパヴィチェヴィッチヘッドコーチは及第点を出した。しかし、それはA東京が目指すスタイルではない。
「1戦目の第4クォーターから今日の2戦目を通して、我々のディフェンスがうまくいっていない」と厳しい表情がさらに険しくなった。「95点獲られてしまったことが反省点であり、我々はディフェンスのチームだ」というのが本来の姿である。
バスケはオフェンスが有利であり、必ずと言って良いほどシュートが決まる。つまり、ディフェンスの方が苦しい戦いを強いられる。タイムシェアし、コートに出れば全力でディフェンスをするのがA東京の戦い方でもある。8人しかいない現状は疲労だけではなく、ファウルトラブルになれば「どうしてもディフェンスはソフトになってしまう部分の葛藤がある」という選手たちの気持ちも理解している。だが、哲学を貫き通さねば、みんなが望む場所にはたどりつけない。
「厳しい状況ではあるが、一試合一試合を乗り越えながら結束力を高め、チームで戦っていきたい」