「富山にとっては大きな勝利だった。選手たちを褒めたい」と手放しで称えたドナルド・ベックヘッドコーチ。10月13日の京都ハンナリーズ戦で、富山グラウジーズの大黒柱であるジョシュア・スミスがケガ(右膝蓋腱断裂)をし、全治は未定。代わってベンチ入りしたジョシュ・ペッパーズもケガが完治しておらず、ベックヘッドコーチは無理をさせなかった。10月16日の試合は、40分間コートに立ち続けたレオ・ライオンズ。相手は帰化選手のニック・ファジーカスを擁する川崎ブレイブサンダースであり、目下4連勝中で中地区首位に立つ。
スミスに代わって先発を任されたベテランの山田大治、交代で入った菅澤紀行やルーキーの前田悟が身長差を補うプレッシャーディフェンスで身体を張る。「ベンチメンバーもステップアップし、チームディフェンスとリバウンドは今シーズン一番良いプレーをしてくれた」というベックヘッドコーチは終始笑顔の記者会見だった。リバウンド数は富山が42本を奪い、高さで勝る川崎を31本に抑える。アクシデントをチーム力でカバーした富山が73-69で大きな勝利を得ることができ、逆に川崎は初黒星を喫した。
チームメイトのアドバイスを受けて後半復活
「気合いが入っていた部分もありましたが、いつもジョシュア・スミスのところがあまり動けていなかったのが僕らの弱点でもあり、狙われるポイントでした。そこを僕ら全員でカバーし合って戦えたところが、勝利につながったと思います」
「ジョシュ(スミス)のために」というメンタル面だけではなく、葛原大智は弱点を補いながらチーム全員でつかんだ勝利であることを強調した。第4クォーターのオフィシャルタイムアウト直前、川崎の3人よりも高く飛んだ葛原が、オフェンスリバウンドを獲る。次のプレーで3Pシュートを決め、65-58とリードを広げるビッグプレーにつなげた。「あのような形で3Pシュートを決めることはできましたが、それまでチームメイトが手助けしてくれたからこそです」というのもまた、一丸となって戦えていた証である。
前半、消極的なプレーからターンオーバーにつながるシーンもあった。その度にチームメイトが葛原のもとへ駆け寄り、アドバイスを送る。
「僕もピック&ロールを使う機会が少なかったですし、その中でも先輩たちから思い切って行け、自分でシュートまで持って行った方が良い、などプラスな言葉をかけてくれました。後半はしっかりその反省を生かすことができたかなと思います」