平 エージェントとの関係性も重要になりますね。
池内 非常に重要です。エージェントによっては相手が日本だと交渉の額を釣り上げてくる人もいますから。
宮田 実際ビジネスとしてお金のことだけを考えて日本に売り込むエージェントもいて、のちのちのことを考えると選手がかわいそうになります。
池内 売り込んだら終わりという。
平 6月、7月だけ働いてあとはほぼコミュニケーションを取らないなんてNBAでは考えられないですね。NBAにはCBAという選手とオーナーの労使協定があって、それによって選手が守られている。Bリーグも今後はこういったルール導入も必要じゃないでしょうか。
宮田 ゆくゆくはどういう形にせよしっかり整理されていってほしいですね。ただ正直今の自分はエクセレンスの環境をよくすること、選手たちのキャリアを考えることでいっぱいいっぱいで、GMとしてはそれだけじゃいけないと頭ではわかっているのですが、それ以上のことを考える余裕がないというのが本音です。だがら、そういうところはまずジェッツさんみたいなビッグクラブに動いてほしいと。
平 声が通りやすいクラブに…ということですね。
宮田 丸投げするわけじゃないですけど(笑)。試合というのは戦う選手はもちろん、オーナーもGMもスタッフもファンもみんなで作るもので、みんなで作ったものをみんなで楽しむためにお金が動くんだと思うんですよ。もちろんビジネス面も大事ですが、そればっかり考えていたらいいリーグは作れない。そのための現状改革とかは影響力のあるクラブに頑張ってほしいなあというのはあります。うちみたいなちっちゃなクラブはそれに追従しながら頑張っていくみたいな。
平 丸投げですね(笑)
宮田 すみません(笑)
平 ただ確かにBリーグの中でビッグクラブが担うものは大きいと思います。ジェッツもその1つですが、池内さんはGMとしてそのあたりのことをどう捉えていますか?
池内 そうですね。まずリーグ全体を見るとGMというもの自体、なんだかまだフワッとした存在のような気がします。ただクラブにGMがいた方がいいのか、いなくてもいいのかという話になれば僕はいた方がいいと答えますね。現状からすると経営数値がわかっている代表が可能な範囲で(選手と)交渉していることが多いですが、じゃあその人がチームの現場を理解していて今どういう選手が必要かわかっているのか?とか、試合に出ていない選手をどう評価しているのか?とか、個々の選手のパーソナリティをどこまで知っているのか?とかになると難しい話で。代表と兼任しながらやるのはかなり大変だと思うんですよ。だから、どのチームにもその会社のコンセプトをしっかり理解したGMを置いて、クラブに合った選手を評価し、交渉していく必要があるんじゃないでしょうか。それが必然的にバスケット界をもっと大きくしていくんじゃないかと思っています。
part3「『僕はGMに年齢やキャリアは関係ないと思っています』(宮田)」に続く
文 松原貴実
写真 安井麻実