平 選手の育成という面ではどのように考えていますか?
宮田 お恥ずかしい話ですが、うちの選手は社会性が希薄で本当に未熟なんです。逆にスタッフは若手からベテランまでいろんな経験、苦労を通して社会性がある者が揃っていて僕はいつも助けられているんですが。で、その未熟な選手たちをどうやって育てていくかを考えると僕にはバスケットというツールしかないんですね。昔の自分みたいに社会は知らないけど、バスケはすごく好きっていうやつらを人としてどうやって育てていくか。バスケは本人が頑張ってやるしかないけど、もしいろんな理由でコートに立てなくなったときちゃんと社会に送り出してやるという責任が自分にはあると思っています。
平 バスケット選手以前に人として…ということですか?
宮田 そうです。それはうちの大命題だと思っています。
平 例年優勝を争う位置にいるジェッツはその分ベテラン選手も多いですし、育成という意味も違ってくると思いますが。
池内 ベテラン選手が多いということは経験値もあるということなので、そういった安定感はあると思います。ただ、年齢層が上がっていけば逆に落ちていく部分もある。やはりその中で若手を育てていかなければなりません。目先のことだけではなく、時間をかけ、次期の(日本)代表クラスを輩出することもクラブとしての仕事と思っているので、そこはしっかり面倒を見て育てていきたいですね。
平 さらに視野を広げれば、U15やU18クラスをしっかり育ててサッカーみたいに若い力を上に絡ませていくという形も増えていくのかなあと思います。ジェッツはクラブの組織としていろんな面で投資ができるような気がしますが、その点はどう考えていますか?
池内 そこはまだまだですね。アカデミーとかユースのところは宇都宮(ブレックス)さんや横浜(ビー・コルセアーズ)さんなどと比べても企業的に小さいですし、本当にこれからだと思っています。いろいろ考え方はあるでしょうが、うちが市民球団であるのは間違いないと思っているので、外から選手を取るというよりアンダーカテゴリーで育てた選手がトップチームに昇格できるようになるのは目指すところでもあります。育てた選手がトップチームの底上げになるという形ですね。今後は必ず力を入れていかなければならないと感じています。
宮田 アンダーカテゴリーの育成については今からやりましょうという感じなんですが、うちの場合トップリーグにいること自体が育成過程と言えるので、今はアンダー世代より(チームの)若い選手を次のステージに行かせてあげることに重きを置いています。彼らにとってエクセレンスはゴールじゃないんですね。一緒にB1に上がりたいというのはもちろんありますが、力をつければ狩野(祐介・滋賀レイクスターズ)みたいに上のステージに行けるわけで、彼らもそこは意識していると思います。そういう目線で見ればアンダーの育成もチームの底上げとか、エクセレンスのためにとかいうのではなく、言い方はおかしいですけど、他のチームからも求められる選手をいかに育てていくかじゃないかなって考えています。
part2「『GMの存在自体がまだフワッとしているように感じます』(池内)」に続く
文 松原貴実
写真 安井麻実