part1「日本一のアマチュアクラブから、岐阜が誇れるプロクラブへ」より続く
志を高く、バスケットに取り組む姿勢はどこにも負けない
Bリーグが開幕してしばらくしたころ、松葉俊治(現岐阜バスケットボール株式会社代表取締役)からチームのホームページに一通のメールが届いた。「B3リーグ参入を目指さないか」──。
「実はちょうどそのころ僕は引退を考えていたんです。目標だった全国クラブ選手権での優勝も果たし、(チームのリーダーとしての)自分の役割も若手に引き継ぎ始めた時期だったんですね。ジュニアクラブを立ち上げて中学生を対象としたクリニックをスタートさせていたこともあり、現役選手から子どもたちの指導に徐々にシフトチェンジしていきたいと考え、動いていた矢先でもありました。そのタイミングで松葉さんから思わぬ連絡が入ったわけです」
田中と松葉、それにクラブのホームページのデザインを手がける細田英樹(現取締役)の3人が集まり、スゥープスが進む方向についての話し合いが持たれた。出されたのは「よし、挑戦しよう」という答えだ。
「正直に言えば、Bリーグが華やかに開幕した年、それをちょっと羨ましいという思う自分がいました。もう少し早い時期にこんなリーグが生まれていれば、自分が選択する道も広がっていたかもしれないなあと考えたりして。でも、そのころはジュニアの指導を始めていましたから、これからは将来Bリーグで活躍できるような選手を育てていくのが自分の仕事だなと思ったんです。自分が指導する子どもたちの中から未来のBリーガーグが生まれたら嬉しいじゃないですか。その時点ではまさか自分が現役としてBリーグで戦うことになるとは考えてもいませんでした」
だが、『B3リーグ参画』の決断をしたあとの動きは迅速だった。2017年に岐阜バスケットボール株式会社を設立すると、翌年には全日本クラブ選手権も連覇し、その実績からB3リーグの加盟が認められる。現在は2年目のシーズンに向かう準備に追われる日々だ。
「ただB3リーグに参入したからといってチームを取り巻く環境が大きく変わったかと言えばそうではありません」
岐阜県初のプロバスケットボールクラブとなれば、当然のごとくスポンサーを探す営業活動やクラブを広く認知してもらうための宣伝活動は欠かせない。が、外国籍選手を除くメンバーは現在もそれぞれ仕事に就いており、厳密には“プロ選手”とは呼べない状況だ。