part2より続く
仙台在住がサステナブルな復興支援
「選手のときは自分がパフォーマンスを出すことが全てでした。つまり、『自分に対して』がメインだったわけです。それに対し、GMは真逆の仕事です。自分の考えやチームの思いを選手に遂行してもらい、ファンの皆さんにどう届けるかを常に考えていますが、ムチャクチャ大変でした」(志村GM)
志村雄彦GMは1年目をこう振り返る。これまでもキャプテンとしてチームをまとめる役割を担ってきた。「選手であれば、プレーで引っ張ることができます。でも、GMはそうはいきません。それがすごく難しく、どうすれば選手に伝えることができるのか、今も頭を悩ましています」と答えなき仕事と葛藤する日々だ。その中において、常に心がけているのは「自分らしさ」だった。宮城県出身、仙台89ERSで10年間プレーした強みを生かしながら、選手と向き合っている。
「これまで通りに接していくのが一番良いのかなと思っています。本音を言える一方で、ビジネスとして向き合わなければいけない部分もあります。紙一枚だけの契約ですが、それだけに留まらない仲間という部分を大事にしていきたいです」(志村GM)
GMとして選手を評価するためにも、見ることが欠かせない。「エージェントを雇っている選手もほぼいないので、最終的につらい決断をするときは直接言わなければいけない立場です。そのためにも選手をしっかり見て評価しなければならないですし、納得してもらえるようにするためにも密なコミュニケーションが重要です」。数字だけで評価されるのもプロ選手だが、志村GMは「同じ目標に向かって一緒に戦っている仲間であり、このチームに来てもらっている部分を大切にしたい」とさらに熱を込めた。
「今シーズンへ向けたチーム編成時に、何人かの選手にはつらい決断をしなければなりませんでした。僕の立場としては良くないですが、選手からありがとうと言われ、感情的になってしまいました。選手にとっては悔しかった思いもあったと思いますが、感情移入するのは良くないとは思います。でも、やっぱり一緒に戦えて良かったと思える選手たちでした。また一緒に戦いたいし、もっと良いオファーができるように彼らにはレベルアップして欲しいということだけは、必ず伝えました。1年目に一緒に戦ったメンバーは生涯忘れられない存在です」(志村GM)
Bリーグで活躍する多くの選手は高学歴であり、セカンドキャリアにGMが向いていると以前から感じていた。慶應義塾大学環境情報学部出身の志村GMは「今までの概念にとらわれず、学問の種類を問わずにかいつまんでいきながら、その中で興味を持ったものに対して専門性を高めて上がっていきなさいという方針でした。T型人材(※)と言われていました…T型だったかな?まぁ、そんな感じです」と記憶があやふやな部分もあるが、幅広く多くのことを学んできた。
※T型人材:ひとつの専門分野に精通しており、それ以外の多様なジャンルについても幅広い知見を持った人材のこと