part1より続く
「がんばり」を数値化する「Grind!」が選手に対する評価基準
「今オフ、桶谷大ヘッドコーチとともに本気でオファーした選手は全員獲得することができました。それはメチャクチャうれしかったです。僕らがすごいわけではなく、僕らが打ち出したカルチャーに対して選手が合致し、理解してくれたんです」と志村雄彦GMは胸を弾ませていた。仙台89ERSが構築するカルチャー、「Grind!」が全てを物語っている。
「数字など目に見えない部分を大切にしており、それを『Grind!』という言葉で表現しています。その意味は粘り強く、泥臭く。コツコツやるプレーを大切にしたいと考えています」(志村GM)
NBAでいうところのハッスルスタッツのように、従来のボックススコアでは集計されない『がんばり』を数値化し、選手の評価基準とした。志村GMは「平均20〜30点を挙げる選手でも、求めているGrind!の部分ができていなければ獲りません。逆にそこまで得点は獲れなくても、こちらが求めるGrind!のサークルを100%遂行できる選手を必要としています」と徹底している。Grind!は「ディフレクション(ディフェンス時にスティールまでいかなくてもボールにタッチして相手のオフェンスを少しでも遅らせるプレー)」や「ボックスアウト」などのハッスルスタッツとともに、「感情と自信」や「ボールへの執着」など8項目に及ぶ。これらのプレーを集計したことで、「負けたときはGrind!が足りていなかったことが如実に数字に現れます」と志村GMは興奮気味に話す。このカルチャーを可視化したことで、選手を納得させる材料にもなっている。
「昨シーズンからいる選手は、Grind!を突き詰めなければ試合に出られないことは分かっており、今シーズンはさらにやってくれるはずです。また、新たに獲得した選手たちもこのカルチャーを理解して来てくれたので、それを率先してくれることでチーム内の競争がさらに激しくなることに期待しています。Grind!はディフェンス面での数字が多いので、いくらオフェンスで点数を獲っていても失点が多ければ、その活躍は0やマイナスになってしまいます。±(プラスマイナス)が高い選手はGrind!を徹底し、常にがんばっている証拠です」(志村GM)
極東のバスケ後進国にやってくる外国籍選手はスタッツを稼ぎ、次のステップにつなげたいと考える場合も少なくはない。しかし、89ERSの外国籍選手たちはこのカルチャーを理解し、「ダニー(ダニエル・ミラー)もJT(ジェロウム・ティルマン)もGrind!の数値は高いです」と志村GMを喜ばせ、すでに契約更新も終わっている。