「(企業チームだった)あの時は、地域のためというのもありましたが、どちらかと言えば会社のために戦っているという思いの方が大きかったです。東芝のために何かしたい、という思いが一番でした。ドラマの中で、会社だけではなく地域として盛り上がるというストーリーなど、『あぁ、分かる分かる』と共感しながら見ています。大泉(洋)さんが演じるGMはラグビーをしていない設定ですが、僕はずっとバスケをしてきたので、その辺での違いはあります。でも、こういう仕事がGMなのか、と思いながら見ていますね」
「今これだけの人気スポーツとなりましたが、武蔵小杉駅で選手がビラを配っても受け取ってもらえなかったですからね。そういった地道な活動を経て、多くのお客さんに来ていただけるようになりました。これに満足せず、もっともっと人気クラブになるためにも勝つことが一番であり、常勝チームになることを目指していきたいです」
昨シーズンは元沢伸夫社長と北ヘッドコーチで編成を行っていた。しかし、「スポーツ界にはGMというポジションが必要」と考え、待望の北GMが誕生した。川崎の親会社であるDeNAは、言わずと知れた横浜ベイスターズも所有している。昨シーズン限りで勇退された高田繁GM(現フェロー)の存在を考えれば、必然と言える。ヘッドコーチ時代、DeNA創業20周年パーティーのときに高田GMとは言葉をかわしたことがあるそうだ。そのときの印象は「会話が上手」だった。GMとなった今、バスケ界の同職を見回せば、それも納得がいく。
「コミュニケーションを取って情報収集しなければいけない仕事なので、それが適しているのでしょうね。僕もそこまでいければいいのですが。きちんと話せるようにならないといけませんね」
謙遜する北GMだが、すでにその素質は十分備わっているはずだ。新たなポジションで迎える新シーズンの活躍を期待したい。
北ヘッドコーチとして、最後の雄姿が詰まった『OVER TIME -新生・川崎ブレイブサンダース、知られざる物語-』のBlue-ray&DVDは8月中旬発売予定!
B.LEAGUE初のドキュメンタリー映画「OVER TIME」劇場公開 およびBlu-ray&DVD発売決定のお知らせ
part1「“川崎らしさ”を具現化していく新たなミッション」
part2「子どもたちの憧れであり、地域に応援される選手育成」
文 泉誠一
写真 安井麻実