個人練習でおこなっていた7つのスポットからのシューティングも、最初に2ポイントシュートを10本決め、次に数十センチ下がって3ポイントシュートを10本決めるというものだった。3ポイントシュートを決めたら、次のスポットに移ってまた2ポイントシュート、その延長線上の3ポイントシュート、といった感じで進められる。
「3ポイントシュートのコツを1つ挙げるとすれば“アーチ”ですね」
ファジーカスは3ポイントシュートについて、そう話す。“アーチ”とはボールがゴールに向かって“弧”を描くように進む軌道のことである。
「3ポイントシュートはゴールまでの距離があるので、ある程度のアーチがなければ入る確率が悪くなるんです。元NBA選手でケビン・ガーネットという素晴らしい選手がいました。彼はミドルシュートがすごく上手だったんだけど、シュートのアーチがあまりなかったので、3ポイントシュートは確率よく決めることができなかったんです。そう考えると、やはりアーチが一番大事なんだと思います」
ゴールまでの距離が近ければ、多少アーチがなくても、バックボードを利用するなどしてシュートを決めることができる。しかし3ポイントシュートはそうはいかないと、ファジーカスは言うわけだ。
裏を返せば、ファジーカスの3ポイントシュートは、単にシュートのセンスがあるとか、インサイドを守られるから仕方なく外に出て打つといった類のものではない。十分な準備に裏打ちされた“3ポイントシューター”のそれとまったく同じなのだ。
そうなると、聞きたくなるのは「得点王」と「3ポイントシュートの成功率」との2冠達成への意欲である。
「もちろん3ポイントシュートのタイトルは獲りたいと思っています。でもその前にオールスターの「3ポイントコンテスト」に出場したいですね」
なるほど、確かにセンターでプレーする以上、リーグの基準に達する本数を打つのは難しいかもしれない。でも「3ポイントコンテスト」であれば同じ条件の下で勝負ができる。取材当日の練習を見るかぎり、日本のバスケット史上“最も身長の高い3ポイント王”が誕生することも十分ありうる。
※ランキング等の成績はすべて2017年4月6日現在
文 三上太
写真 安井麻実、三上太