── 篠山選手が今まで出会った中で影響を受けたキャプテンはいますか?
栗原(貴宏)さんですね。僕が日大の3年のときのキャプテンだったんですが、とにかく頼りになる存在でした。あまりしゃべる人ではないんですが、練習の姿勢とか私生活の取り組み方とか1つひとつの言動に重みがあるんですよ。大学時代、僕はフラフラしてた時期もあったんですが、キャプテンの栗原さんを見たら、ああこの人を勝たせたい、この人が率いるチームで日本一になりたいと思いました。そのことで自分の(バスケットに対する)取り組み方も自然に変わっていったような気がします。
── そのキャプテン像に影響されたところはありますか?
大学4年になって自分がキャプテンになった最初のころは栗原さんみたいなキャプテンを目指していました。でも、無理でした。僕と栗原さんではキャラが違いすぎました(笑)。自分は自分のキャプテン像を見つけていかなきゃいけないなあと考えるようになったのはそれからですね。
── では、篠山さんは自分をどういうタイプのキャプテンだと思いますか?
僕は人の力を借りてチームをまとめていくタイプだと思います。たとえば(藤井)祐眞が悩んでいたら自分が声をかける。谷口(光貴)だったら辻や栗原さんに行ってもらう。永吉(佑也)だったらニック(ファジーカス)に頼む。そうやってみんなに助けられながらチームを丸く丸くしていくというか。先頭に立って引っ張るというより、チームの真ん中にいて全体を上げていくようなキャプテンでいたいと思っています。
── 今回『トリプルドラゴン』として篠山選手、橋本竜馬選手、小野龍猛選手を取り上げたわけですが、2人のドラゴンのリーダーシップについてどんな感想を持っていますか?
まず竜馬はやっぱりすごいですよ。言葉は悪いかもしれませんが、人の扱い方が本当にうまい。たとえばこの人はイジッていい人なのかダメな人なのか、瞬時に嗅ぎ分けて対応する能力があります(笑)。だから、どこで誰が集まっていても、そこに竜馬が入るとすぐに『竜馬の輪』になるんですよね。あの求心力はリーダーとしての才能でしょう。逆に龍猛さんにはあまりリーダーというイメージがないのですが、いざとなったら誰よりもやるというか、代表チームの練習でも始まる前は「だるい、だるい」とか言っているのに、練習が始まればピリッとしてすごく頑張る。きっとみんなはそこに付いていくんだと思います。
── これから自分が目指すものを教えてください。
まずはコートの上でチームとしても個人としてもしっかり数字を出して、いろんな人に名前を知ってもらえるようになりたいです。同時にプロ選手としてテレビに出たり、ラジオに出たり、雑誌に載ったり、コートの外でもできることは何でもやっていきたいですね。チームの目標はもちろんBリーグ初代王者。そのためにはニックや辻に頼りすぎることなく、仮に2人が不調だったとしてもみんなでつないでいかなければならない。そこで絶対必要になるのは僕の得点力です。自分で言うのもなんですが、キーマンですね(笑)。今年はどのチームもガードの力が(勝敗を)左右するような気がするので、そういう意味でも負けるわけにはいかん!と思っています。
文 松原貴実
写真 安井麻実