※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2017年3月末発行vol.7からの転載
ユーモアのセンスに溢れ、底抜けに明るい男…それが誰もが抱く篠山竜青のイメージだ。しかし、本人の話を聞くうちにそれとは違うもう1つの顔が浮かんできた。オープンに見えてシャイ、豪快に見えてセンシティブ。まじめにバカをやりながら、まじめに悩む。色紙に書いた『日々努力』の文字がキャプテン・篠山竜青を表しているようにも見えた。
── 主力であるライアン・スパングラー選手を故障で欠き、エースの辻直人選手も復帰までにしばらく時間がかかりました。それをマイナスとしないためにキャプテンとして心がけていることはありますか?
ケガ人が出ることによって負けが込んでしまうと、やっぱりチームの士気は落ちます。「あいつがケガさえしていなければ」とか「代わりに出てるやつがこうだから」とか選手の思考も少しずつネガティブになってしまう。みんなの意識がそういった方向に傾いていくと、負のスパイラルに陥ってなかなか抜け出せなくなるんですね。それは全く勝てなかった1年目(8勝34敗で終えた2011年~2012年シーズン)に僕自身が経験したことです。そうした状況に陥らないためには、1回1回の勝ち負けで沈んだり、浮き足だったりするのではなくて、その試合で自分自身何ができたかということを個々がしっかり考えることが必要だと思っています。幸いというか、今は辻とライアンが抜けていても勝率的にはそれほど落ちていないし、中地区でもトップをキープできていますから、チームのムードが落ち込んでいるわけではないですが、どんな状況の中でもさっき言ったように『その試合で自分が何をできたか』を考えることが大切なのは同じです。若手にとっては出番が増え、成長できるチャンスでもあるわけですから『自分にベクトルを向けてやって行こう』という話はしました。それは1年目に自分に言い聞かせていたことでもあります。
── 篠山選手は常にポジティブでチームを明るくするイメージがあります。
いや、いや、結構そうでもないんですよ。沈むときは沈むし、考えすぎてそれがもろプレーに出てしまうこともあるし、多分、周りが思っているようなタイプの人間ではないです。確かに高校ぐらいまでは明るくて、先頭に立って周りを盛り上げることが好きで、それを自分の使命だと思っていたようなところがありましたが、なんでしょうね、大学ぐらいから突然内気になりました(笑)。今でも人の輪の中にスッと入っていくこととか、新しい友だちを作ることはあまり得意じゃないです。いや、ほんとなんですよ。まあ、別にそれを他の人にわかってほしいという気持ちはなくて、皆さんがイメージする篠山竜青の方がキャプテンにふさわしいなら、なるべく自分をそっちに寄せていこうと、それは意識しています。
── 実際の自分はそれほどキャプテンにふさわしくないタイプだと感じているのですか?
そうですね。わりと最近までそう感じていました。
── 今は変わった?
う~ん、自分がキャプテンに向いているかどうかは別として、少なくとも今はキャプテンになったことでより頑張れている自分がいます。ってことは、結構(キャプテンに)向いているのかな…と(笑)。そう思えるようになったのも1つの成長ですかねぇ。