part2より続く
縁の下の力持ちとして
2018年12月22日、横浜ビー・コルセアーズ戦でBリーグデビューを果たしたシェーファーアヴィ幸樹だったが、その後のレギュラーシーズンでは14試合の出場(1試合平均3分38秒)に留まった。プレータイムの確保も帰国の狙いだったアヴィにとっては不本意だったかもしれないが、一方で「アメリカにいたときよりは練習内容も、また試合でもチャンスがあればどんどん出してくれるので日本のほうが環境はいい」と断言する。日本のトップレベルに身を置き、そこで躍動する選手たちのプレーを見ることも今のアヴィにとっては大きな財産だ。試合に出る時間こそ少ないが、練習では現役日本代表の竹内譲次や、NBAでのプレー経験があるアレックス・カークと毎日のようにやりあえる。そこで学ぶことも多い。
アヴィと同じように大学時代に未来を担う日本のビッグマンとして期待されてきた竹内は、練習中にアヴィがカークを上回るプレーをすることに触れ、「自分がアヴィと同じ年でアレックスを相手に戦えと言われたら、正直、今のアヴィほどはできないと思います。そこにアヴィの将来性を感じます」と語る。その一方で、だからこそ今は我慢の時期だとも付け加える。
「一生懸命やっていると思いますし、きっかけがあればもっと飛躍的に成長できると思います。今はなかなか試合に絡めていなくて、もしかしたら『なんで日本に帰ってきたんだろう?』と思っているかもしれませんが、アルバルクには試合に絡めなくても一生懸命準備をしている選手がたくさんいるので、そういう部分を見習ってほしいですね。今は我慢の時期だと思うし、自分の決断を否定するようなマインドにはなってほしくないです」
練習中にアヴィにやられて、ついフラストレーションを表に出すこともあると認めるカークは言う。
「自分がイラつくってことは、アヴィがそれだけやれている証拠だよ。練習で彼がそれだけやってくれることは自分にとっても向上のいい材料になっているし、そういう意味ではアヴィにも感謝しているよ」
竹内もカークもアヴィの話題になると、プロの厳しい表情から一転、優しい“兄貴”の表情へと変わる。その理由を竹内は「本当に頑張ってくれているので、本当によくなってほしいなと思っているんです」と言う。
アヴィ本人も今はまだ理想のプレーヤー像に行きついていないとわかっている。行きついていないどころか「まだ頂上が見えないところにいます」とさえ話す。
「頂上はまったく見えません。全然まだまだ足りないものが多すぎて、試合でも全然結果が出ていないし……逆に最近は自分がダメだってことしか感じなくて、そういう意味で見直している部分が多いんです。まだまだですよ。上を見る以前にまずは自分の足元を見てってところです。もちろん目標はあるんですけど、それ以前に一つひとつという感じです」