これまでは、一部を除いて「中学→高校→大学→プロ」といった1つのルートが主流で、それぞれのカテゴリーで結果を残した選手が、プロへの扉をこじ開けていた。自身が通う地域や学校の環境、よい指導者に巡り会えなかった選手は、その夢を絶たれることが多かったのである。
しかし今後は、トライアウトをクリアするなど関門はあるものの、夢を持った子どもたちがBリーグのU15チームで自身の腕を磨きながら、夢への挑戦を続けられる。
2018年3月11日にはB2のアースフレンズ東京Z(以下、東京Z)がそのトライアウトを実施した。大田区を中心に24名の受講者が集まり、彼らはチームから出された課題に取り組んでいた。
むろんトライアウトをクリアした選手がすべてプロ契約を保証されるわけではない。その道を断たれる選手も出てくるだろう。しかしそうした選手さえも社会に出たときに「U15チームで学び得た価値観でそれぞれの仕事に当たってほしい。そういう価値観を持つことができれば、将来に生きるのではないかと思うんです(東京Z・岩井貞憲ヘッドコーチ)」。
Bリーグの塚本氏は各クラブに「指導するコーチには選手を“見る”目が求められる」と言っていた。大切なのは、現時点での身長などではなく、プロになれる資質があるかどうか。クラブやコーチはそれを見極める目を持たなければならない。
2時間45分のトライアウトを終えて、東京Zの岩井ヘッドコーチは頭を悩ませていた。学年はもとより、身長も、ファンダメンタルの習得度もさまざまな選手たちをどう評価するべきか。
「プロ選手であればさまざまな数値も出ていて、能力もわかるが、このトライアウトの成果は3〜5年後に出るものなので、評価は難しいですね」
夢を持ち、未来を担おうとする選手を育成することは、絶大な影響力とともに、責任も重大になる。しかし塚本氏、岩井ヘッドコーチの話を聞く限り、彼らの未来に向けた取り組みは本気である。明けない夜はない。
文・写真 三上太