※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2018年3月末発行vol.19からの転載
子どもたちの夢の実現に向けて、日本のバスケットボール界が新たな一歩を踏み出そうとしている。Bリーグが参加する各クラブに対して、2018-19シーズンのB1ライセンス取得条件の1つとして「U15(15歳以下)チーム保有」を義務付けたのである。
Bリーグの運営本部・強化育成部の塚本鋼平氏が言う。
「これはBリーグが独自で生み出したシステムというよりも、JBA(日本バスケットボール協会)のU15改革の下、Bリーグとしても育成のための下部組織を作っていこう、日本全体で育成年代の改革を本気で取り組んでいこうという考えのもとにスタートしています。JBAが掲げている『日常から世界基準を』にもあるとおり、私たちの日常を変えていかなければいけないと考えたわけです」
これに伴い、2018年4月からは中学生の選手登録の内容も大きく変わる。これまで中体連(日本中学校体育連盟)への登録しかできなかったが、より大きな枠組みとして「U15登録」となり、形態も中体連のチーム(既存の部活動)、BリーグのU15チーム、そしてクラブチームという3つの形態になる。しかも2018年4月から2021年3月まではそれらへの二重登録も許される。「中体連+クラブチーム」の二重登録のみ許可されていないが、「中体連+Bリーグ」、「Bリーグ+クラブチーム」の形は、3年間に限り、許されるというわけだ。
一方でアルバルク東京やレバンガ北海道など、いくつかのU15チームは最初から二重登録を認めず、そうならない選手を受け入れるクラブもある。これは体育館の確保やコーチングスタッフの確保、その地域の学校との関係性など、さまざまな視点から各クラブが決定してよいことになっている。
目的は“個”をレベルアップさせること
では部活動とU15チームとでは何が異なるのか。自身もかつて教員だったという塚本氏は「部活動はチームを作り、子どもたちの学業や生活を加味しながら、さまざまな選択をしていきます。U15チームは、もちろんチームとしても機能させるわけですが、一番に求められるのは個の育成です」と言う。そのためU15チームのヘッドコーチには「チームで(8月におこなわれる)U15チャンピオンシップを勝とうとしないでください。そのためのトライアウトでは意味がない」と伝えているそうだ。
「このシステムの意味が出てくるのはU15の活動を終え、U18につながり、そこから大学へ、もしくはU15から世界の高校や大学に進み、そこからBリーグに戻ってくる、いゆわる『アスリートパスウェイ』までを想像した個を育成できるかどうかにあるんです」