── 今シーズンのご自身については?
難しいシーズンになると思います。5人が入れ替わったところで、昨シーズン見せたトランジションオフェンスをさらに高めなければいけないわけですから。もちろんそれをできる選手たちが揃っているんですけど、ポイントガードとしてはより大きくチームのバスケットを体現しなければいけません。得点が止まる時間帯も出てくるだろうし、それに自分がしっかりアジャストできるか。そうしたところが難しいかなと。でも今年は本当に楽しんでプレーしたいし、みんなのことを信じたいと思っています。今年は笑顔でプレーするシーズンにしたいんです。これまではポイントガードなのでみんなに喝を入れなければいけないと、意識的にそうしてきました。でもそれだけではチームメイトもついてこない。どこかで笑顔やユーモアも必要になると、4年目にして思えたんです。みんなもプロとしてのプライドがあるし、こうしたいという考えもあるので、しっかりとコミュニケーションをとって、笑顔で「OK、OK」と言えるようなポジティブな考え方で試合に臨みたいですね。
── そうなろうとしたきっかけは何かありましたか?
昨シーズンはポテンシャルの高いチームだったんですけど、それがあった分、ボク自身ももっとできると思っていたんです。でもシーズンの序盤は結果が出なくて、それでももっとできるはずだと追求しすぎたところがありました。勝ちたいという気持ちからその考えに気づかなかったわけですね。ただシーズンを進めていくうちに徐々にチームが固まってきて、どこが一番いい波だったのかを改めて考えてみたんです。そのときにたとえ負けてもみんなが笑って「いいよ、いいよ。次また頑張ろう」と言っている時期が試合の流れも一番よかったことに気づいたんです。みんなで助け合う気持ちも芽生えていたし、それがすごく大事だなと。今年はメンバーも大きく替わりましたし、開幕前からバスケット以外のところでもみんなとコミュニケーションが取れれば、もっといい結果が生まれるんじゃないかと思っています。
── すでに実践されていますか?
今年はみんなとよくご飯に行ったりしています。昨シーズンもやろうと思っていたんですけど、なかなか言い出せない雰囲気でした。今年は「行こう!」と積極的にみんなに言うようにしています。
── 今シーズンはチームも、笹山選手も変わるシーズンになると。
そうですね。試合後のインタビューで笑っていなければ言ってください。逆に負けても笑っているかもしれません(笑)。そのときは大丈夫かなって思うかもしれないので、「しっかり考えている?」って聞いてくださいね。
“司令塔”と呼ばれるポイントガードのメンタリティーはおのずとチームの色を変えていく。プロとして結果を求めることは第一義だが、チームがギスギスした状態では結果が出ることもない。名古屋Dの浮沈は笹山の表情にかかっている。
文 三上太
写真 吉田宗彦