SF:小野龍猛(千葉ジェッツふなばし)
197cmの高さと器用さを併せ持ち、相手にとっては非常にやっかいな存在だ。SFのポジションではミスマッチを生かしたポストプレーを武器とし、さらには高確率の3Pシュートで一気に流れを呼び込む。ディフェンスが寄れば、意表をつくパスで味方を生かす場面も目立った。コートの上で闘志をむき出しにするタイプではないが、「常に落ち着いて流れを見極めるキャプテンの存在はとても心強い」と、チームメイトは口を揃える。強豪揃いの東地区で首位に立った躍進の陰に小野の存在があったことは間違いないだろう。リーグ優勝を逃した無念さは隠しきれないが「完敗だった結果を真摯に受け止め必ず次につなげたい」と、最後まで冷静に語る姿が印象的だった。
PF:桜木ジェイアール(シーホース三河)
2007年に帰化して以来、アイシン(シーホース三河)の大黒柱として幾度も優勝の立役者となった。その桜木も41歳。身体能力だけを見れば多少の衰えは否めないが、それを補って余りあるのは、その経験値を生かした試合巧者ぶりだ。得点15.5(10位)、アシスト5.5(4位)、リバウンド8.4(9位)と10位内にランキングしているスタッツを見ても、41歳の桜木が今も尚チームのみならずリーグを牽引する存在であることがわかる。これらの結果の裏には、体力の維持や細かな体調のコントロールなど本人のたゆまぬ努力があったことは想像に難くないが、それを承知の上でこれからも『困ったときのジェイアール』で居続けてほしいと願うファンは多いはずだ。42歳のダンクを見る日が待ち遠しい。
C:アレックス・カーク(アルバルク東京)
211cm。114kgのビッグマンでありながら豊富な運動量を誇るカークはアルバルク東京のリーグ優勝に絶対不可欠の存在だった。レギュラーシーズン60試合全てに先発出場。いずれの試合もリバウンド争いに体を張り、しっかりスクリーンをかけ、ボールを動かしズレを作り、速攻に走る…といった献身的プレーが目を引いた。得点ランキングは7位の16.2だが、1月末の滋賀レイクスターズ戦でキャリアハイとなる40得点をマークしたことも記憶に残る。ブロック1.2(5位)、リバウンド8.9(7位)の貢献度も高く、渾身の1本で流れを変えることも。B.LEAGUEアワードにその名はなかったが、アルバルクのバスケットに見事にアジャストした活躍はMVP級だったと言えるだろう。
文 松原貴実
写真 安井麻実・吉田宗彦