“本気”の本質を垣間見たアメリカでのワークアウト
ベンドラメとの親交はそれぞれが別の大学に進学し、プロになった今も続いている。B.LEAGUEが開幕する直前のオフには2人でアメリカへワークアウトにも出向いている。
知人の紹介でトレーナーをつけてもらい、ワークアウトをおこなったのだが、そこでの衝撃がプロになってからの岡本のモチベーションになっている。
「練習量が本当に違うなって感じました。大学の下級生の頃は『これだけ練習をしているのになんで……?』っていう悔しい思いがあったんですけど、今思えば根本的に練習量が足りていないと自分自身に矢印を持って行けることができたんです。このアメリカでの経験は大きかったですね」
時間にすれば1時間か、長くても1時間半しかないアメリカのワークアウト。しかしアメリカ人のその時間に対する集中力や強度、本気度は日本でやってきた練習とはまったく違う。何よりもそのことに衝撃を受けた。
「隣のコートでは当たり前のようにNBA選手もそれをやっている。そういう光景を見て、こうした習慣がどんどん差になっているんだなとすごく感じましたね」
むろん映像などを通じて違いは感じていた。しかし現地で、文字どおりの体験をすることによって、その違いの中身を皮膚感覚で知れたことは大きい。言葉で伝えることもできるが、やはりそれは挑戦しようとアメリカに渡った者にしか感じられない何かが、そこにはある。
「いや、本当に甘ったれていた自分がいたなと感じました。日本では練習量で他のやつに負けない絶対の自信がありますし、でも『さらに上がいるんだ』とわかってはいたんです。でも実際にそれを肌で感じて焦りました。日本ではちょっと得意だった1対1をやってもボコボコにされて、ビーチで一人うなだれていたら、知らないおばあちゃんに『大丈夫?』って聞かれたりして(笑)。そういう経験が今では大きい。ナニクソという気持ちをさらに大きくさせましたね」
ベンドラメ礼生というバスケットに対する熱い思いを真に共有できる友と出会い、アメリカで“本気のバスケット”を肌で感じられたことが、岡本のさらなる挑戦に掻き立てる。
その“本気”は今、広島をB1昇格へという目標に向けられ、岡本自身にとってもその後の目標に向けられている。
part3へ続く
【常に自分に矢印を向けながら、チームを勝利に導きたい】
文・写真 三上太