part1より続く
ベンドラメ礼生のひたむきさに触れて
岡本飛竜(広島ドラゴンフライズ)にとってベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)との出会いは、バスケットに向き合う気持ちをより高めるものとなった。大学卒業を目前にして、実業団ではなくプロの道に進むことに決めたときもベンドラメの存在は大きかったと岡本は認める。
「なんか自信があったんだと思います。これだけ努力していれば絶対に……いざ自分にチャンスが回ってきたときに絶対にそれをつかめると感じていました。でも、まぁ、ノベガク(延岡学園)の同期だった礼生の存在は大きかったです。あいつがあれだけ頑張っているなら自分も同じ舞台に立ちたいとか、あいつがやるんだったら俺もやるという気持ちもありました。それがずっと支えになっていましたね」
初めて出会ったのは高校1年生のとき。入学当初は中学時代にジュニアNBAやジュニアオールスターなどで活躍をしていた岡本のほうが有望視されていた。実際に1年生ながら上級生とともに主力チームに交じって練習をすることもあった。
一方のベンドラメは「部員30人くらいいて、最初のころは25番目くらいだったと思う」と岡本は振り返る。チーム内で紅白戦をおこなっても、岡本がAチーム、もしくはBチームであるのに対して、ベンドラメはCチーム、もしくはDチームでプレーすることが多かった。
しかしその立ち位置は徐々に逆転していく。1年生の終わりごろになると、頭角を現してきたベンドラメが主力チームに入るようになり、相反するかのように岡本はBチーム、Cチームへと落とされていく。
それでも岡本は腐らなかった。むろん悔しい思いがなかったわけではない。ふるいにかけられ、その網目から落ちていく自分の横をベンドラメが吸い上げられていくのだ。それを純粋に喜ぶほどお人よしではない。
「ただ礼生とは一緒に自主練習をしていましたし、1対1もやりあっていたので、あいつのバスケットに対する姿勢だったり、どんな状況に置かれてもただひたすらにバスケットをする姿に感化されて、『あいつがあそこまで頑張れたんだから、俺も負けてられねぇ』って感じでしたね。礼生は本当に練習熱心で、純粋にバスケットを楽しんでいましたから」
ともに高め合ってきた友だからこそ、彼が這い上がり、ポジションをつかみ取っていく姿を目の当たりにしても、どこか納得ができる。むしろ、ならば自分ももう一度その座に返り咲いて、ベンドラメとともにチームを引っ張りたい。そうした経験が当時も、そして今も岡本を支え続けているのだ。