本日9月28日(金)よりB2が開幕し、3年目のBリーグがはじまる(B1は10月4日開幕)。今月初旬に全国各地で行われたアーリーカップでは、B2勢がB1クラブと対戦する機会が13試合あり、結果は2勝11敗。愛媛オレンジバイキングスがライジングゼファー福岡に勝利を挙げた。また、仙台86ERSは秋田ノーザンハピネッツを破り、東北地区を制している。しかし、敗北を喫したのはいずれもB2から昇格したクラブであり、昨シーズンもB1の舞台で戦ってきたクラブはやはり強かった。
「B1との試合は現実を突きつけられたが、糧になる試合だった」岩下桂太ヘッドコーチ(茨城ロボッツ)
「B1チームとの対戦は、今後に向けて良い経験になった」と清々しいコメントを残したのは茨城ロボッツの岩下桂太ヘッドコーチだ。シーホース三河に64-95、三遠ネオフェニックスに善戦するも85-96で敗れ、一矢報いることはできなかった。
B2クラブであれば、どのチームも最大の目標はB1昇格である。昨シーズン、中地区首位にいた茨城。しかし、ラストゲームを落としたことでファイティングイーグルス名古屋に土壇場で抜かれ、B2プレーオフ進出が断たれてしまった。
今シーズンは大幅に戦力を補強し、3度目の正直でのプレーオフ進出、そしてB1昇格を目指す。さらに岩下ヘッドコーチは、もう一つ上の目標を付け加えた。
「B2優勝、B1昇格が最終目標ではなく、B1で戦える、B1で優勝できるチームになることを目指している。B1との試合は現実を突きつけられたが、糧になる試合だった」
B2を制するだけではなく、その先を見据える選手補強を図った茨城。B1に胸を借りることができ、今後の方向性が定まった良い機会でもあった。
「練習中からB1のレベルをキープしていくためにも見習う部分は多かった」髙橋祐二選手(茨城ロボッツ)
茨城の髙橋祐二選手は、「一つひとつのプレーの精度やシュートの確率がB2とは全然違いました」とB1との差を実感している。
「三河戦では、一人ひとりが試合中に考えて対応していく力がすごく高いと思いました。岡村監督はそういうところを求めているので、今大会でB1と対戦できたことはすごく大きな経験でした。これを今後どう生かすかが大事であり、練習中からこのレベルをキープしていくためにも見習う部分は多かったです」
目標とするB1の戦いを肌で感じたからこそ、B2同士のゲームでも常に高いレベルの試合を意識し、それを維持していけば、自ずとB2優勝をたぐり寄せることだってできるはずだ。先に述べた岩下ヘッドコーチ同様、髙橋選手自身も自覚しており、チームとして共通認識ができている。
「僕らの目標はB2を優勝してB1昇格ですが、最終的な目標はB1でも勝てるチームであり、そこで優勝することです。B2の戦いだけを考えずに、もっともっと上を見て、そこで勝つことを目指していかなければいけないです」
新生ロボッツは「プレータイムをシェアできるのが強み」
茨城は昨シーズンの3Pシュート王である福澤晃平選手をはじめ、8人の新戦力を迎えた。これまで先発を任されていた髙橋選手は、アーリーカップではシックスマンに回っている。チーム内の競争が激しくなることが、必然的にチーム強化につながる。「昨シーズンと比べると、練習の質は確実に上がっています。もっともっと練習中から成長していけるように、仲間たちと切磋琢磨していきたいです」とその競争を歓迎していた。
「一人ひとりのプレータイムが長く、どうしても抑えてしまう部分もありました」と髙橋選手が言うように、昨シーズンの茨城はベンチメンバーの層が薄かった。しかし、今シーズンは違う。頼れる仲間が増えたことで、コートに出たら誰もが100%の力を注げるチームへと変貌した。
「昨シーズンは主力の日本人3人(髙橋、平尾充庸、眞庭城聖)が引っ張る時間が長く、正直言って疲労もありました。今シーズンは、プレータイムをシェアできるのが強みでもあり、このチームの特長です。試合に出たら各々が持ち味を出すことができ、僕自身としても持ち味であるアタックを存分に出していきたいです」
岩下ヘッドコーチも「昨シーズンは選手に負担をかけすぎてしまい、ケガが一番恐かった」というのが本音だった。長いシーズンを戦い抜くためにも、ロスター全員がそれぞれの役割を全うしなければならない。ようやくその駒が揃った茨城は、体力面でのリスクヘッジが可能となり、スタートダッシュに懸けている。
昨シーズンはB3から上がったばかりの福岡が一気にB1へ駆け上がった。今シーズン昇格してきた八王子ビートレインズだって同じ線路を突っ走る可能性もゼロではない。アーリーカップを制し、勢いに乗る仙台や熊本ヴォルターズの真価が試される。B1から降格した西宮ストークスと島根スサノオマジックに至っては、あのレベルを知ってしまったからこそ一刻も早く返り咲かねばならない。まばゆいB1の影に隠れるB2だからこそ、その光に向かって一生懸命戦っている姿を見せ、ファンと一緒に高みを目指せ!
B2開幕カード
9/28-29 八王子ビートレインズvsアースフレンズ東京Z@エスフォルタアリーナ八王子
9/28-29 愛媛オレンジバイキングスvs広島ドラゴンフライズ@松山市総合コミュニティセンター
9/29-30 熊本ヴォルターズvs島根スサノオマジック@熊本県立総合体育館
9/29-30 金沢武士団vs信州ブレイブウォリアーズ@金沢市総合体育館
9/29-30 群馬クレインサンダーズvs山形ワイヴァンズ@ヤマト市民体育館前橋
9/29-30 青森ワッツvsFイーグルス名古屋@カクヒログループスタジアム
9/29-30 福島ファイヤーボンズvs仙台89ERS@宝来屋 郡山総合体育館
9/29-30 茨城ロボッツvs西宮ストークス@青柳公園市民体育館
9/29-30 バンビシャス奈良vs香川ファイブアローズ@ならでんアリーナ
文・写真 泉誠一