逆境を乗り越えてきた経験を生かし、どんな状況でもチーム一丸で戦うだけ!
チャンピオンシップの残り1枠に一番近い中地区2位の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ。横浜ビー・コルセアーズ戦は延長の末、2連勝をもぎ取った。しかし、新潟アルビレックスBBがピタリと3ゲーム差で離れずにおり、マジック1は変わらない。「残り1つを勝って、チャンピオンシップの出場権を勝ち獲るだけ」と梶山信吾ヘッドコーチは自らの手でつかむことを宣言。次戦は中地区チャンピオンのシーホース三河、最後の2試合は昨シーズンのチャンピオンである栃木ブレックスをいずれもホームに迎え、格上から1勝をもぎ取らねばならない戦いとなる。
横浜戦でスタメン3人(ジャスティン・バーレル選手、安藤周人選手、中東泰斗選手)が負傷し、ベンチに下がったままその日は戻ってこなかった。「今シーズン、こういうシチュエーションはかなりあった」と梶山ヘッドコーチは動じていない。
「ケガ人が出たり、テクニカルファウルで退場して次の試合に出られなかったりしてきた。また、15点差のビハインドを負いながら逆転して勝った試合が6回もあり、そこが選手たちの自信になっている。どんな状況でもチームがひとつになって、自信を持ってプライドを持って戦えば乗り越えていける。ここが、もう一度チームがひとつになるためにも再確認すべき場所である」
4月だけを振り返っても、新潟アルビレックスBBとアルバルク東京の試合は前半で16点をリードされていたが、諦めることなく逆転勝利を挙げている。
お互いに少しずつ気持ちを分かち合えるようになってきた
身体を張ったプレーで14点/5リバウンドを挙げた張本天傑選手は、「シーズン終盤になって、やっと慣れてきた感じです。お互いに少しずつ気持ちを分かち合えるようになってきたことがチームとして良くなっています」と好調の要因を挙げた。
「どうしても若いチームなので、最初はそれぞれの我が強かったです。個性だけを100%出して戦っていれば、やっぱり対立してしまう部分がありました。今は60〜70%に抑えたことで良い形に融合できています」
名古屋Dの選手たちの実力は申し分ない。それぞれが勝利のためにガムシャラに、脇目も触れずに戦っていたが、「火と火がただぶつかっていたような状態でした。でも、みんなが一歩下がったことでようやく前が見えてきました。その大切な部分をみんなが分かったことで、チームプレーができはじめたんだと思います」。
シーズン前半の20試合は8勝12敗と負け越していたが、次の20試合は12勝8敗と勝率を5割に戻すことができた。終盤に来ている今は10勝7敗、目下4連勝中と波に乗り、しっかりと結果に現れている。
自分たちのバスケットをやりきることが大切
外国籍選手とマッチアップする機会も多い張本選手だが、「日本代表でもずっとやってきているので、フィジカル面では負けていない」と自信を持つ。横浜の221cmあるハシーム・サビート・マンカ選手に対しては、「やっぱり高さはしょうがない部分もあり、ハイロー(ハイポストからローポストへのプレー)を安易にやられてしまいました。それでも自分のマークマンがパスしたときにディナイしたり、プレッシャーかけてハイローをさせないプレーが必要でした」と課題を潰す作業に余念は無い。
次節、足を痛めたバーレル選手が戻ってこられるのかどうかが分からない状況である。その穴を埋め、チャンピオンシップ出場をつかむためにも張本天傑選手の活躍が必要になってくる。
「JB(バーレル選手)以外の外国籍選手2人(ジェロウム・ティルマン選手とクレイグ・ブラッキンズ選手)はアウトサイドプレーが中心なので、自分が責任を持ってインサイドにアタックしていきます」
残る3戦へ向け、「自分たちのバスケットをやりきることが大切。最後は気持ちの部分が大事にもなってくるので、ルーズボールやリバウンドでは数字で相手に負けないようにすること。シュートは水物であり、その日の調子もあるけどルーズボールやリバウンドを徹底さえすれば、結果もついてくると思っています」と張本選手が縁の下で支え、ケガ人がいてもチーム一丸となって勝利を目指すだけである。
文・写真 泉 誠一