大学時代はエースとして活躍してきた馬場選手だが、多くのBリーグのチーム同様、A東京もオフェンス時は外国籍選手がファーストオプションになる。それによって彼の積極性がうまく表現できておらず、微妙ではあるが試投数にも表れていた。同じシックスマンのブレンダン・レーン選手は12分程度の出場時間で5本のシュートを放つ。一方、馬場選手は18分ほどのプレータイムをもらいながら、4本に終わっている。
「そうですよね…それは実感しています。でも、ルカのバスケットスタイルは無理をせず、ボールを展開して次につなげながらゲームを組み立てていくので、自分一人ではないところもあります。そこで僕だけではなく、みんなも消極的になってしまっているのかなとも思います。試合中にシュート自体を打たないから、たまに来たチャンスで打っても入るわけがない。田中選手は普段から思いっきり打っているからこそ、それを決めてきてくれます。そこが今のチーム全体の弱みであり、僕のアテンプトの少なさにもつながっているのかな」
「馬場ぁー!」の歓声に、昭和生まれはつい反応し血が騒ぐ!?
馬場選手は普通の選手と同じようにかわいいルーキーなのか、それともA東京を優勝へ導く救世主か?クライマックスへ向け、その真価が問われる。残念ながらケガによって出場機会が大幅に減ったことで、新人王は難しいだろう。しかし今後の活躍次第では、チャンピオンシップMVPだって狙えなくもない。復帰したばかりの今、「ゲーム感覚という面ではまだ本調子ではない」が、慌ててもいない。目標はリーグ制覇であり、チャンピオンシップまでにコンディションを上げていけば良いと前を見据えていた。
規格外のルーキーがコートに立つたび、ホームゲームでは「馬場ぁー!」という歓声が上がる。昭和生まれ、ゴールデンタイムのプロレスを見て育った世代は、ついつい血が騒いでしまう。馬場選手のライバルとして、”猪木”または”アントニオ”という名のBリーガーが現れないかと密かに期待している。または、名古屋Dの安藤周人選手のコートネームを思い切って『アントン』にし、Bリーグ名勝負を繰り広げられないものか…。
(ジャイアントの方の)馬場と言えば『赤パン』である。残念ながらA東京のホームジャージーは黒──いや、サードジャージーは赤パンだ!これを着用した3月10日、11日はケガのため馬場選手は出場していない。A東京のホームゲームも残り2節(4月21-22日vs三遠ネオフェニックス、5月5-6日vs京都ハンナリーズ)。赤パン姿の馬場選手を見られれば、昭和プロレスファンはさらに血が騒ぐ…かもしれない。
文・泉 誠一
写真・吉田宗彦