大学を経て、Bリーグにやって来るルーキーのほとんどは23歳だ。しかし、大学に在籍したままプロ契約を果たした馬場雄大選手はまだ22歳。過去を振り返れば、アルバルク東京の前身であるトヨタ自動車時代、ルーキーとしてアメリカから帰国した田臥勇太選手(現栃木ブレックス)も同じ22歳のときだった。
当時、いつも通りに代々木第二体育館へ行ってもそのシーズンだけは席が埋まり、立ち見を強いられるほど超満員でもあった。集客力こそまだそこまでの影響を及ぼしていないが、馬場選手もコートに出れば大きな声援を受け、田臥選手同様に観客を魅了しはじめている。
アルバルクの弱点が露呈し、残り0.1秒で逆転負け
最大22点をリードしていた名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの初戦(4月14日)は、残り0.1秒で痛恨の逆転負け(92-93)を喫した。今シーズンのA東京はリードを許して追いかける展開や、この日のように相手がエナジーを出して追い上げてきたとき、本来の力が形を潜めてしまう。それでも前半は51-35と大量リードしており、マトリックス上で負ける要素はなかった。勝負を分かつ場面まで、フリースローは100%決めてもいた。3点差へと引き離す最後の場面、安藤誓哉選手が2本とも外してしまう。しかし、フリースローは結果論でしかない。ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチの見解はこうだ。
「オフェンスで思うようにスコアできなくても、我々はディフェンスのチームであり、相手の攻撃の芽をつぶすことを第一に考えなければいけない。それこそが我々のスタイルである。だがディフェンスで止めきれず、簡単にスコアを許してしまうと次のオフェンスもうまくいかずに悪循環になってしまっており、そこが今の弱点。練習中から常にタフネスにプレーすることを要求しているが、攻守に渡ってソフトになってしまう時間帯があり、そこで簡単にやられてしまっている。一番反省しなければいけないところだ」
敗れた名古屋D戦は23本ものアシストを挙げたが、そのうちの19本は第3クォーターまでに記録している。リズムが狂った第4クォーターはたった4本。ピック&ロールを武器とし、ボールと人が連動して動いていたそれまでのプレーとは打って変わり、焦りが感じられる終盤は1on1一辺倒となって自らリズムを崩している。パヴィチェヴィッチヘッドコーチも「もっと良いシュート、もっと良いポジションでオフェンスを終わらさなければならなかった」と言い、コート上で選手たち自身が修正しなければならない課題が浮き彫りになった。
ルーキーが感じるアルバルク東京の課題点
1月1日の千葉ジェッツ戦でケガをした馬場選手にとって、名古屋D戦は約2ヶ月半ぶりのホームゲームだった。しかし、ホーム復帰戦を飾ることはできず、勝負が決まる大事な時間帯はベンチで見ていた。
「もう本当に悔しい。ルカに直接(俺を出せって)言いたいくらい。復帰したばかりというのもあるけど、(動けるのに)負けた試合をベンチで座って見ているほど悔しいことはない」
パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、「ここ4週間ほど20点近くリードしていても、最後にクロスゲームになってしまっている。試合中に波があるのが今の課題だ」とも指摘していた。戦列を離れていた馬場選手はこの状況やチームの雰囲気を、客観的にどう感じていたのだろうか?
「どうしても田中(大貴)選手任せになってしまっており、誰かがやってくれるというプレーが全体に蔓延してしまっているところがあるように見えています。オフェンスで良い形で終われない分、今まで通りのディフェンスができないことで負の連鎖が続いてしまっています」
問題解決へ向け、選手ミーティングも必要かもしれない。だが、「あまりそれをする機会はないです。でも、みんなが何か違和感を持っていて、モヤモヤしながら戦っているのは正直あると思います。結果として、この試合でもそこが後半の失速につながったのかな」とルーキーも危機感を感じていた。