脂が乗ってきた“88年組”の活躍が目立つ。日本代表を見ても篠山竜青選手(川崎ブレイブサンダース)、橋本竜馬選手、金丸晃輔選手(ともにシーホース三河)、初選出された中西良太選手(熊本ヴォルターズ)もみな同じ29歳を迎えた世代。学生時代からその名を馳せてきたBリーガーだけに、旧友対決にスポットライトがあてられる機会も多い。例えば、北陸高校出身の篠山選手と多嶋朝飛選手(レバンガ北海道)の戦いは昨シーズンも話題となった。その記事を見ていた一人の選手が「俺もいるのに!」と吠えている。「そこに俺の名前がないのは正直、イラッとしました」とフラストレーションを溜めているのは、北陸高校で得点を獲りまくっていたもう一人、井手勇次選手だ。B3から昇格した金沢武士団におり、同じステージに立つべく必死にがんばっている。
納得いかなかったB3の格差と待遇
Bリーグ元年の昨シーズンはバスケの強さではなく、資金面などライセンス基準に準じて運営会社が査定されB1〜B3に振り分けられた。
「bjリーグ時代はB1にいるチームにも勝っていたわけです。そのプライドを持ってB3でも戦ってきたし、B2に上がったからといって2年前となんら心境の変化もない。逆にあの時以上に反骨精神があります。契約更改時、振り分けられただけのB3だったにも関わらず、評価が劣るのにも納得がいかなかった。BリーグのサイトにもB3は載っていないし、スポナビでも放送されない。こんなに格差があるのかって思ったし、ものすごく悔しかったです」
井手選手の正直な気持ちであり、同調する選手やそれを支えるファンも多いことだろう。
昨シーズン、B3を宣告されたチームは成仏できない幽霊のようなものだ。創設から2年間、プレーし続ける生え抜き選手が6人もいる金沢だからこそ、その怨念も強い。
「特に月野(雅人)や(与那嶺)翼さん、僕も含めてbjで戦っていたというプライドは強い。B3レベルと見られているからこそ見返してやりたいし、その意気込みのままB2に乗り込んできました」
B3と比較すれば、「毎週のようにタフな試合が続く」という印象を持つ井手選手。「負担は大きいけど、楽しい方が強い。当然やれるという手応えは変わらずに持っています」。平均20点を挙げることを目標に掲げ、「インパクトを残していきたい」と鼻息は荒い。取材した翌日(11月12日)のアースフレンズ東京Z戦は、早速公約通りに25点を挙げていた。