5034人を集めた千葉ジェッツのホームに乗り込んだレバンガ北海道だったが、68-89の大差で敗れた。勝率で並んでいた北海道だったが、この結果により千葉に東地区単独2位の座を譲ってしまった。
前半だけで8本の3Pシュートを許し、フィールドゴールも53.8%と高確率で決められ、22-53。早々に31点のビハインドを背負った北海道ゆえに、数字だけを見れば前半で勝負が決まったと言える。しかし、息を吹き返した後半の戦いっぷりを見れば、今シーズンの北海道の好調さを推し量ることができた。
シーズン中はけっして無駄な試合はありません
チャレンジャーとして挑んだ北海道だったが、「前半に関しては強度やエネルギーなど全ての面で上回られ、相手にのまれてしまった」と水野宏太ヘッドコーチも肩を落とす内容であった。後半の得点だけを見れば46-36と北海道が10点上回っている。むろん前半で31点差をつけた千葉は、100%のエナジーを出さなくても逃げ切れば良い展開であり、結果として勝てなかったわけだから褒められるものではない。だが、北海道が成長するために得たものは少なからずあった。水野ヘッドコーチは、「シーズンの早い段階でやってはいけない失敗をしたことをプラスに捉えて、今日の後半のような試合ができるように今後も準備をしなければいけない。この負けで下を向くのではなく、この試合を良い教訓としてすぐにやってくる土日の試合に生かしていきたい」とすでにリセットしていた。
「シーズン中はけっして無駄な試合はありません。今日の負けを良い方向に向けられるようにしていきたい」と同じく前向きに捉えているのは松島良豪選手だ。兵庫ストークス(現西宮)から北海道に移籍して3年目の25歳。この松島選手をはじめ、ルーキーの関野剛平選手や川邉亮平選手らも含めた若手選手たちが勢いづけ、チームの好調さを支えている。「ベンチメンバーも含めて基本的に全員が試合に出るので、日替わりで良い選手が出ることに期待している」と水野ヘッドコーチも話している。2014-15シーズン途中から代行となって指揮を執ってきた水野ヘッドコーチが、北海道の大地に蒔かれた種に水をやり、肥料を与えながら大事に育て、ときに厳しく諦めることなく約束事を徹底してきたことがようやく実り始めている。
強度とエネルギーを持ってプレッシャーをかけるディフェンスが北海道ベーシック
「後半に立て直すことができたのは、間違いなくディフェンスの強度の違い」と水野ヘッドコーチは挙げており、大きくビハインドを背負っても諦めずにボールに食らいついていくことが北海道のスタイルである。前半、エナジーの足りなかったディフェンスについて松島選手は「最近良かったアグレッシブなディフェンスが出せず、前半はファウルも少なかったです」と振り返る。リスクを恐れず、ファウルも厭わない覚悟でプレッシャーをかけるディフェンスは、昨シーズンから共通理解を持って徹底させてきた。「それができないと強豪チームに勝てない」と松島選手が言うような結果に終わったのが千葉戦でもあった。
多嶋朝飛選手は、「プレッシャーをかけることや強度やエネルギーを持ってディフェンスをすることがレバンガのベーシックな部分でもある」と手応えを感じている。その一方で、「やっぱり強度を持ってディフェンスから意識していかなければダメだということを痛感させられました。タフショットを打たせて、相手が嫌がるタフなディフェンスをして、良い流れをもっともっと作れるように、もっともっと強いチームに対しても40分間良いバスケットができるようにしていきたい」とこの敗戦から見えた課題も大きい。
開幕から外国籍選手3人を揃えて臨む2年目の意気込み
大差で負けた北海道だが、見ていて楽しさを覚えた変な感覚が残っている。「北海道には諦める選手は誰一人としていません。ファンの皆さんが遠方まで応援しにきてくださって、諦める姿だけは絶対に見せたくないです。諦めずに戦っていけば、次こそ逆転する力につなげられると思っています」と松島選手が言えば、水野ヘッドコーチも「自分たちが一つずつ勝っていくこと、チームを強くしていくことで皆さんに注目されるチームにしていきたい。見ていて楽しいと思ってもらえるようなチームにしていきたいし、この敗戦で全てを失うわけでもない」とポジティブなコメントが相次いでいた。
B.LEAGUE2年目の今シーズンは、開幕から3名の外国籍選手をロスター入りさせたことに意気込みが伝わってくる。3人ともハードワーカーであり、しっかりとチームワークに徹している印象を受けた。グレゴリー・ウィッティントン選手、ダニエル・ミラー選手、マーク・トラソリーニ選手をコート上で束ねるポイントガードの多嶋選手は、「非常に頭が良い選手たち。なんでもできるプレーヤーなのでガードとしても一緒にバスケットをしていて楽しいです。阿吽の呼吸でいろんなプレーを作れるようなタイプでもあるので、彼らの良さを引き出して自分もしっかりコミュニケーションを図っていきたい」とシーズンが進むにつれてバリエーションは増えていきそうだ。
明日10月28日からは、王者・栃木ブレックスを迎える2連戦。会場は帯広、多嶋選手の地元で行われる。「まだ、帯広では勝てていないので、どんな内容であれ勝ちたい。毎年のようにお客さんもたくさん入ってくれるので、帯広の皆さんに喜んでもらえるようなゲームをして、レバンガらしい良いプレーを見せたいなと思います」と意気込みを語っていた。強豪揃いの東地区で勝ち抜くため、ディフェンスをベースにチャレンジを続ける北海道は、試合毎に強くなっていかねばならない。
文・写真 泉 誠一