青山学院大学の卒業資格を得た安藤周人選手は、昨シーズン後半より名古屋ダイヤモンドドルフィンズに入団。21試合中8試合を先発で起用され、急ピッチでチームに浸透していった。今オフには男子ユニバーシアード日本代表として、ユニバーシアードだけではなく様々な国際大会に出場し、経験値を上げて臨む新シーズンが始まった。
「ダメだな」と感じさせられた2試合
昨シーズンの最高勝率を誇る川崎ブレイブサンダースを相手に、開幕戦は1勝1敗。敗れた2戦目は延長までもつれ込む中での惜敗だった。梶山信吾ヘッドコーチは「川崎を相手にここまで戦えたのは選手たちの自信になる」と語っており、若いチームを勢いに乗せるには十分な結果となった。
今シーズンも初戦から先発を任された安藤選手だったが、出てくるコメントは反省点ばかり。
「夏はチームと一緒にほとんど練習ができず、ユニバの経験の成果を少しでも出せたら良かったですが、開幕戦は全然活躍できませんでした。(翌2戦目の)今日はなんとかしてやろうと思っていたのですが、本当に大事な場面で使ってもらったときに、やられてはいけないことをやられてしまったり、きちんと指示をこなせなかった部分もありました。スタメンで使ってもらっている以上、甘ったれた部分をなくしていかないとダメだな、ということをこの2試合で感じられました」
しかし、スタッツを見れば2日目には11点をマークしている。新卒選手で他に二桁得点を挙げたのは、栃木ブレックスの生原秀将選手だけであり、自信を持って良い活躍だ。
9月29日:24分48秒出場、6点(3Pシュート0/5)、2アシスト
10月1日:30分28秒出場、11点(3Pシュート3/6)、2アシスト、4リバウンド
ディフェンス面では、川崎のシューターであり、大学の先輩でもある辻直人選手を2試合とも一桁(3点/9点)に抑えている?
「いや、全然抑えられた自信はないですね。ノーマークで打たせてしまっていました。辻さんを『抑えて来い』という指示も受けていました。決められたらダメですし、そうなると勢いに乗せてしまう選手です。この2試合はまだ調子も上がってきていないと思いますし、シュートも入ってなかったのはありがたかったですが、もっともっと自分のディフェンス力を上げていかなければいけないと思わされました」
マッチアップして感じた通り、辻選手はアーリーカップ前に負ったケガのために開幕週の月曜から練習に復帰したばかりで、本調子にはほど遠かった。
指揮官から新人へ──歴史あるクラブのシューター継承
シューターとしては両日とも5本以上の3Pシュートを打つことができており、2戦目は3本成功させている。その自信を持たせたのが、梶山ヘッドコーチである。試合中、頻繁に安藤選手をコートサイドに呼び、「もっと自信を持って打ち続けろ」と発破をかけていた。「なかなかシュートが入らないと、どうしても消極的になってしまいます。それは僕も現役時代はシューターだったので、その気持ちはすごく分かります。でも、こういう経験を経て選手は絶対に強くなっていくものです」と前身となる三菱電機時代から名古屋D一筋のヘッドコーチの後継者としても期待している。
安藤選手に、今シーズンはどんなプレーを目指しているか伺った。
「チーム自体も若いですが、その中でも自分が一番若い。今年は走るバスケットなので、それを生かせるようにするためも、自分がもっと前を走っていかないとダメだなと思います。走るバスケットは楽しいですが、結構きついです。頭を使わなければならないですし、常に走って良いわけでもありません。試合をしてみてまだまだ走らなければいけない部分も多々あり、その判断をつけていかないとダメだなと思いました」
これまで「ダメ」という言葉を4回使っている。それだけ開幕戦は課題が浮き彫りになった。「ダメ」な部分をつかめたことは、大きな経験でもある。シーズンを通して「ダメ」な部分を減らしていけば、自ずと成長した姿を見せてくれることだろう。
「昨シーズンのリーグ戦では2敗していた川崎に開幕戦で勝てたことは自信になりました。今日は負けてしまいましたが、昨シーズンの準優勝チームと張り合えたことは、みんなの自信になっていると思います。この2試合の結果を生かして、次は2連勝したいです」と最後は前向きな言葉を残し、次戦のホーム開幕戦に臨む。
10月7日(土)・8日(日)@愛知県体育館
14:05 vs 琉球ゴールデンキングス
文・泉 誠一/写真・吉田宗彦