・サーディ・ラベナ(三遠ネオフェニックス)
23勝37敗で終わった昨季から46勝14敗と驚異の躍進を遂げ、中地区優勝とともに2016-17シーズン以来2度目のCS出場を果たした三遠は一気に注目度を高めたチームだ。スタメンとして59試合コートに出たサーディ・ラベナは189cmながらゴール下でも当たり負けしない強靭な身体を武器に平均得点12.6(フィールドゴール成功率52.2%)の数字を残した。フィリピンから来日したのは “アジア特別枠” が設けられた2020-21シーズン。三遠で過ごした4シーズンの間には続く黒星に苦悩することもあっただろうが、持ち前の明るさで常に周りを元気づける存在だったと聞く。今季から新設された本家アワードの『アジア特別賞』はまさに納得の受賞だったが、ここではそれと並んで価値がある(たぶん)BBSベスト5を謹んで授与したいと思う。
・ライアン・ロシター(アルバルク東京)
3戦までもつれこんだCSクォーターファイナルで琉球に敗れた瞬間、涙し、体中で悔しさを表したライアン・ロシターが心に残った。208cmの高さだけではなく、流れを読み、ゲームコントロールもできるロシターは『ポイントセンター』の異名を持つ。実際ゲーム中に仲間に声をかけてハドルを組んだり。短いアドバイスを送る場面も珍しくなく、アルバルク東京のリーダーとしての存在感は際立っていた。中でも激戦に次ぐ激戦となったCS3連戦では第1戦47.15分(Wオーバータイム)、第2戦37.11分、第3戦37.52分とフル出場に近いプレータイムをこなし、全力でチームを牽引した姿は高く評価したい。今季残した平均10.8得点、9.4リバウンド、4アシストのスタッツでは測れないロシターの真髄を見たような気がした。
・ジョシュ・ホーキンソン(サンロッカーズ渋谷)
選出された5選手のうちCSに進出できなかったのはジョシュ・ホーキンソンが所属するサンロッカーズ渋谷のみ。にも関わらず、2年連続でこのベスト5に選出されたのは彼だけだ。つまり、シーズンを通してそれほど強いインパクトを残したということだろう。ロスター入りしていたジェームズ・マイケル・マカドゥがケガで戦線離脱したことで開幕から苦しい試合が続いたSR渋谷だが、ホーキンソンの熱量は変わらず、持ち前の献身的なプレーで幾度となくチームを救った。ゴール下のせめぎ合いを制したかと思うと、鮮やかな3ポイントも沈めてみせる。平均17得点(ランキング9位)、8.1リバウンドもさることながら、やはり光ったのはリーグトップ(1.3本)をマークしたブロックショットだろう。思わず声が出るほどの豪快さはまさにSR渋谷の大黒柱と呼ぶにふさわしいものだった。(パリでも頼むぜ)
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE
「Basketball Spirits AWARD(BBS AWARD)」は、対象シーズンのバスケットボールシーンを振り返り、バスケットボールスピリッツ編集部とライター陣がまったくの私見と独断、その場のノリと勢いで選出し、表彰しています。選出に当たっては「受賞者が他部門と被らない」ことがルール。できるだけたくさんの選手を表彰してあげたいからなのですが、まあガチガチの賞ではないので肩の力を抜いて「今年、この選手は輝いてたよね」くらいの気持ちで見守ってください。
※選手・関係者の所属は2023-24シーズンに準ずる。