リバウンドを制するものは云々、と主張する絶壁カリアゲキャプテンは正しい。
初めてその言葉に触れ、「んなわきゃない。シュート決めちまえばいい」と聞く耳も持たなかった僕は若かった。チームと個人は理想のオフェンス、ディフェンスを追い求めるが、他の集団も目指す結果は同じ。同じリーグ内には比較的似たような能力帯の選手が属しやすいので必然的に実力は拮抗し、オフェンスの目論見は存分に阻まれ、試合中のシュートは半分以上がリングを通過しない。
勝負を分けるのは運と、そして攻撃回数。
運をコントロールするには神様にお歳暮でも贈るほかないが、攻撃回数は人間の意思による些かの操作が可能だ。
ターンオーバー、スティール、そしてリバウンド。
オフェンスリバウンドは4点分の働きであるとする名指揮官であれば、おそらくこんなチームを望んだのではないか、とも思えるような5人がこの度BBS的世界選抜ベスト5として見事に選出された。
ジャック・クーリー(琉球ゴールデンキングス )
実写版「超強力リバウンドマシーン」。ピックアンドロールの難易度を大きく下げるゲームチェンジャー。ユーザーにとっての選択肢、「自分で得点」「ビッグマンにアシスト」「外へキックアウト」の基本三原則に加え、「とりあえずリングに当てとけ」の謎理論を確立させた張本人。ボールを持っている人はクーリーにマッチアップしているビッグマンをブロックに飛ばすことさえできれば、あとは適当にぶん投げるだけで回収してくれる。「オフェンスリバウンドは運の要素強いよなあ」と考えるバスケットボーラー諸君は、一度クーリーとピックアンドロールしてみることをお勧めする。その瞬間、あなたは別の世界線の住人となる。
チャールズ・ジャクソン(横浜ビー・コルセアーズ)
河村勇輝のセンセーショナルな活躍を生み出した敏腕プロデューサー。走力、スクリーンの精度、インサイドの得点力において河村と絶妙にマッチし、彼の能力を最大化させた。本アワードの審査中にはコートに倒れた相手選手にも手を差し伸べる紳士的な姿に絶賛の声が寄せられ、人間力の高さにも評価が及んだ。そしてその強力なリバウンドは横浜の積極性を支え、Bリーグ発足以来最高の成績を収めたチームの勢いの土台となった。ベスト5というからには試合のできるメンバーじゃないとね、を基本軸にした選考だったが、クーリーとジャクソンがインサイドにいたらもう誰もリバウンドを取れないので後はどうでもいいかもしれない。
ニック・ケイ(島根スサノオマジック)
とりあえず3番でプレーしてもらいます。本来のポジションではないが、近年では3&D(3ポイントとDefenceを頑張る人。大体3番ポジション)とかいう概念も普及してきているので問題ない。むしろその類まれなバスケットボール理解から生み出される効率的なプレーは3&D&S&S&P&P(3ポイント入ってディフェンス良くてスペーシング上手いしスクリーンかけるのも上手いしポジショニングバッチリでポストアップから中でも中距離でも得点できる人)くらいまである。地味系のスキルも磨き続けると光りまくるし、逆に目立っちゃう。あともちろんリバウンドだって強い。ピックアンドポップから3ポイントが主戦場なのにオフェンスリバウンドまで飛び込んでくるその運動量は驚異的。&R追加で。