2人のインサイドプレーヤーの選考は難航した。選考委員の多くが、トリッキーな帰化選手を2枠使ってノミネートする。ジョシュ・ホーキンソン(信州ブレイブウォリアーズ)、ルーク・エヴァンス(ファイティングイーグルス名古屋)、ニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)……。仮に帰化枠を1人にした場合、他に誰がいるだろうか、と頭を悩ます。まず、谷口大智(島根)の名前が挙がった。58試合に出場し、平均2.9点。試合数はクリアしているが、出場時間が11分52秒ではBEST5としては苦しい。同じく渡邉飛勇(琉球)のパフォーマンスも目を見張るものがあったが、20試合(6分14秒)では対象外になってしまう。B2だが、60試合を全うした満原優樹(佐賀バルナーズ)の名を出す者まで現れた。B1昇格を支えた満原には、来シーズンこそ大暴れし、BEST5を狙ってもらいたい。
スタッツを見れば、抜群の活躍をしている帰化選手から選ぶことで決着がついた。1人目は、今シーズン途中に帰化申請が受理されたホーキンソン。ちょうどこの原稿を書いている6月23日に、28歳の誕生日を迎えたホーキンソンは、今夏は日本代表での活躍も期待される。もう一人は川崎のキング、ファジーカスが順当に選ばれた。ファジーカスも同じく6月生まれで、38歳になった。昨シーズンは58試合に出場。平均31分26秒間コートに立ち続け、20.8点・9.9リバウンド・4.5アシストの活躍は衰え知らず。35歳以上の選手を称えるアイアンマン賞へ推す声もあったが、まだまだMVPやBEST5に選考される存在だ。
帰化選手を2人選んではみたが、素晴らしい能力を持ち合わせながらも、日本人ビッグマンがあまり起用されていないことが嘆かわしい。今夏、ワールドカップに向かう日本代表でがんばってもらい、自ら存在価値を高めてもらいたい。
あれ?あの選手が入っていないではないか……と不満に思われている方もいるだろう。冒頭で述べたように、1人に複数の賞を与えない掟があり、ここで名前が挙がらなかった選手はきっと他の賞に選ばれ、たっぷりと称えられるかもしれない。お楽しみに!
BBS AWARD 2022-23【世界選抜BEST5・Bリーグ】
ヴィック・ロー/ドウェイン・エバンス/ニック・ケイ/チャールズ・ジャクソン/ジャック・クーリー
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE
「Basketball Spirits AWARD(BBS AWARD)」は、対象シーズンのバスケットボールシーンを振り返り、バスケットボールスピリッツ編集部とライター陣がまったくの私見と独断、その場のノリと勢いで選出し、表彰しています。選出に当たっては「受賞者が他部門と被らない」ことがルール。できるだけたくさんの選手を表彰してあげたいからなのですが、まあガチガチの賞ではないので肩の力を抜いて「今年、この選手は輝いてたよね」くらいの気持ちで見守ってください。