【コティ・クラーク/名古屋ダイヤモンドドルフィンズ】
驚くべきはディフェンスの運動量。
高い位置から仕掛ける名古屋の守りの前線、ハーフライン付近で幾度も相手にターンオーバーを発生させる。
相手ガード陣のスピードにも対応するフットワークと、重量級ビッグマンのポストプレーに対抗するフィジカルに加え、オフェンスではレンジの広いシュートや十分にハンドリングされたドライブ、フローターまで決めて得点も量産する。
あれだけの高負荷に長期間耐え続けられるものなのだろうかと危惧していたところに運悪く、怪我でシーズン終盤の離脱を余儀なくされた。
試合数が足りないせいか平均スティールはアギラールと同じ本数だがランキングに反映されていないため、せめてここでくらいは評価したい。
【ジョシュ・スコット/宇都宮ブレックス】
ハート型の剃り込み以外は派手なところを出さず、堅実なプレーを黙々と続ける献身的プレーヤー。
ゴール付近の得点力も魅力的だが、ディフェンスでの駆け引きに才覚を見せた。
ピックアンドロールを使って侵入してきた相手を上手く中まで誘い込んでブロック、あるいは止めに行く素振りを見せてパスを出させ、素早くマークマンに戻りプレーを無効化するなど、状況への高い対応力が求められる宇都宮のディフェンスにフィットした。
数年前、選手生命すら危ぶまれた大怪我から復帰したての頃にはチームメイトにジャック・クーリーの存在もあった焦りからか、不安定な表情が度々見られた。
足の具合は一進一退を繰り返し、結果的に治療のためシーズン途中でチームを去った彼をある種の諦念的な思い ── 誰にとっても避けようのない不運で、それはひょっとすると自分だったかもしれない ── で見送るしかできなかった僕は、せめてジョシュが納得のいくかたちで区切りをつけてほしいと願った。
しかし彼はまた元気に帰ってきて、そしてBリーグにおけるキャリアで一番高いところまで登り詰めた。
コートで走り回る彼の顔つきは、いつの間にか素朴で真っ直ぐな以前のものに戻っていた。
読者諸賢もご存知のとおり、BEST5では到底収まりきらないほど優秀な外国籍選手がリーグ内には溢れていて、我々の選考会でも様々な候補が挙げられた。
選手の情報と睨み合い、削っていく作業は胃の痛む思いのすることだったが、この度選出された彼らに共通項があるとすれば、高い能力を持ちながらも自分本位にならず、日本人選手の能力をより引き出してくれるチームプレーヤーであるということだろう。
個人の結果は勝敗を左右する要因の一つに過ぎないことを、おそらく彼らはよく知っている。
BBS AWARD 2021-22【日本・アジア選抜BEST5・Bリーグ】
https://bbspirits.com/bleague/aw22062001/
文 石崎巧
写真 B.LEAGUE
「Basketball Spirits AWARD(BBS AWARD)」は、対象シーズンのバスケットボールシーンを振り返り、バスケットボールスピリッツ編集部とライター陣がまったくの私見と独断、その場のノリと勢いで選出し、表彰しています。選出に当たっては「受賞者が他部門と被らない」ことがルール。できるだけたくさんの選手を表彰してあげたいからなのですが、まあガチガチの賞ではないので肩の力を抜いて「今年、この選手は輝いてたよね」くらいの気持ちで見守ってください。