「ディフェンスのチーム」を標榜するヘッドコーチや選手は多いが、集団のスタイルとして実現できているケースは驚くほど少ない。
その原因の一つには外国籍選手の役割が関係していて、彼らに対し高い攻撃力を求めるあまり、ある程度の低い守備力にはだんまりを決め込む傾向がある。
だが近年ではリーグ全体のレベルアップに伴い、各チームに高い攻撃力と守備力を併せ持つ万能外国籍選手が急増した。
そんなチームへの貢献度が抜群に高い外国籍選手5人を『世界選抜BEST5』としてBASKETBALL SPIRITS編集部及びライター陣が独断と偏見により選出、勝手に讃えたい。
【ドウェイン・エバンス/琉球ゴールデンキングス 】
来日したてのシーズンにおいてニック・ファジーカスを一人で守り切る姿に「ヤベェやつ来ちゃった」と頭を抱えたのを覚えている。
ドライブの初速が速く、少しでもズレができれば後はパワーでディフェンスを押さえ込んでレイアップまで持っていけるので、ドリブルを二つか三つしか必要とせずに得点ができる。
そのため、長時間ボールを保持するワンマンエースと違ってチームメイトの感覚を損なわない。
【パブロ・アギラール/川崎ブレイブサンダース】
多分、他人の心が読める超能力者。
パスの進路近くに彼がいると、ボールが来るのを知っていたかのようにスティールされる。
抽象的な感覚に優れた彼の守りを打ち破るのは難しく、相手チームの選手にとってはとにかく近寄りたくない嫌われ者(いい意味で)。
攻めては絶妙なポジショニングで味方の中継点となり、速いパス回しでチャンスを広げたかと思えば、ビッグ3のアドバンテージに合わせて自分のミスマッチを的確についたりと合理的。
【セバスチャン・サイズ/アルバルク東京】
プレー間に発生する空白が少ないため、他の選手よりも多くバスケットをプレーしている。
例えばシュートを打った直後、自らリバウンドを取りにいく場面などはその最たるものだが、サイズの場合は自身のシュートがブロックされても次の瞬間にはすでにディフェンスより早くボールへ手を伸ばしている。
腕の長さや身体能力の高さも目立つが純粋なボールへの反応が研ぎ澄まされていて、やはりこの競技の原点は学校体育のポートボールで全員がボールに群がるあの姿だと改めて思わされる。