大学卒業見込みの大学4年生が特別指定選手としてBリーグのチームに加入すると、シーズンオフにほぼそのチームと契約することから「新人」の定義がもうひとつわかりにくくなっている。しかも特別指定選手および本契約1年目(実質2年目?)でゲームに出る選手も決して多くはない。ということで「Basketball Spirits」では2019-20シーズンより表記のような名称で“新人”前後の選手で優秀な働きをした選手を表彰させていただくことにした。
新型コロナウィルスの影響でリーグが中止となってしまった2019-2020シーズン、その賞にもっともふさわしいのは、満場一致で富山グラウジーズの前田悟に決まった。開幕当初こそスタメンではなかったが、最終的には全41試合中34試合でスタメン出場。平均得点11.5点はチーム内の日本人選手では堂々トップの成績。3ポイントシュートの成功率39.9%はリーグ全体で6位の成績である。
先日公開された宇都直輝との対談では、宇都の「もうエースと名乗っちゃえ」という煽り(?)にも動じず、「自分、まだまだっす」といった殊勝な返答をしたが、途中で(気持ちが)逃げたとはいえ、宇都と言い合いになりかけたというエピソードを聞く限り、彼のなかの負けず嫌いの火種は根強くくすぶっている。来シーズン、「自分が富山のエースです」と発言できるようになれば、チームの上位進出はもちろん、前田本人も日本代表に一歩近づくだろう。東京オリンピックが1年延期となったことで、彼にもその舞台に立つチャンスを与えられるかもしれないのだ。前田のなかにライバルとなるシューターすべてをなぎ倒す気概が生まれることを期待して、今シーズンの最優秀1〜3年目選手賞を贈呈したい。
文・写真 三上太