今シーズンも激戦区と言われた東地区だが、ベスト5選考の方は候補の名前は多数挙がるものの激戦とはならず、比較的すんなり5名が決定した。まずバックコート陣の1人目は千葉ジェッツの富樫勇樹。昨年のレギュラーシーズンで千葉がマークした史上最高勝率(52勝8敗)の立役者であり、レギュラーシーズンMVPにも輝いた。しかし、今シーズンはサンロッカーズ渋谷を相手に開幕2連敗を喫すとその後も黒星先行の苦しい戦いが続く。その状況から巻き返す先頭打者になったのはやはりこの人だ。石井講祐、アキ・チェンバースといった仕事人が抜けたことでかかる負担が大きくなった中、それを跳ね返すがごとく平均14.4得点、平均6.5アシスト(リーグトップ)の働きで『千葉に富樫在り』を実証してみせた。
バックコート陣の2人目は初代新人王から4年目のシーズンを迎えたベンドラメ礼生(サンロッカーズ渋谷)。今季SR渋谷は外国籍選手を含め7人もの選手が入れ替わったが、その新生SR渋谷をキャプテンとして牽引し、東地区4位(27勝14敗)、さらには5年ぶりの天皇杯優勝という成績を残した。切れのあるドライブで果敢に攻め込み、意表をつくスティールで流れを呼び込み、攻守にわたって持ち味のアグレッシブさを発揮。スティール部門でリーグトップ(平均1.8本)に立ったことも本領発揮のシーズンだったことを物語っているだろう。
バックコート陣の3人目は「やっばこの人は外せないでしょ」の一言で決まったアルバルク東京のエース田中大貴だ。判断力に優れたオールラウンドプレーヤーであることは言うまでもないが、中でも「タナカ―ク」と異名を取るほど息の合ったアレックス・カークとのピック&ロールはA東京の最強の武器と言える。小島元基をケガで欠く中、負担が増した安藤誓哉をカバーすべく務めたポイントガードでもアシスト部門5位(平均4.8本)に付ける仕事ぶりを披露。ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチのバスケットを遂行する第一人者として、今シーズンも安定した力を発揮した。
この他バックコートのベスト5候補には千葉の田口成浩、宇都宮の遠藤祐亮、渡邉裕規、鵤誠司らの名前が挙がったが、ケガやプレータイム等を考慮すると上記3人の活躍に一歩及ばず。
続くフロントコート陣では宇都宮ブレックスのライアン・ロシターとアルバルク東京のアレックス・カークが満票を集めた。高さ、走力、多彩な攻撃能力など2人に共通することは多いが、中でも目を引くのはともに『献身的なプレーヤー』であることだ。帰化に伴い日本代表入りしたことでも話題を呼んだロシターは、今シーズンもゴール下で身体を張り、平均10.4 本のリバウンド(リーグ4位)で勝利に貢献。一方のアレックス・カークは仲間を生かすために何度もスクリーンを仕掛け、必殺“タナカ―ク”も披露する。A東京のシステムにしっかりフィットし常勝軍団を支える役割を果たした。
文 松原貴実
写真 三上太、泉誠一