中地区BEST5の選考は、2位のシーホース三河に13.5ゲーム差をつけ、31勝9敗でぶっちぎりの首位に立った川崎ブレイブサンダースの先発メンバーが主軸となる。しかし、タイムシェアをしていたこともあり、スタッツに反映される活躍を見せた3選手に絞られた。
横浜アリーナでの開幕戦で先発出場した藤井祐眞だったが、その後は例年どおりのシックスマンとしてベンチから勢いづける。これまでも候補にその名は挙がったが、シックスマンゆえにBEST5の選考から外されてきた。篠山竜青が負傷欠場し、年明けから先発を任され続けたことで満を持してのノミネートとなる。平均12.1点、5アシストはいずれもキャリアハイを更新し、篠山に代わってはじめてオールスターにも出場した。富山グラウジーズの宇都直輝や三遠ネオフェニックスの河村勇輝を推す声もあったが、藤井が圧倒した。
得点2位(23.2点)、リバウンド3位(11本)、3Pシュート成功率3位(41.9%)とリーダーズ3部門で好成績を収めたニック・ファジーカスは文句なしの選出である。今シーズンより加入したジョーダン・ヒースの活躍は、選考委員たちを唸らせた。3Pシュート成功率47.1%でリーグ2位、208cmながら走力もあり、川崎のスタイルをさらにレベルアップさせた功績を評価する。帰化枠のファジーカスとともに、ヒースをはじめとした外国籍選手2人を同時起用するビッグラインナップは今後も脅威だ。
来シーズンは2地区制となり、中地区が消滅する。川崎は2017-18シーズン以来の東地区へ。そのときは千葉ジェッツ、アルバルク東京に続く3位だった。チャンピオンのA東京とは天皇杯を含めれば2勝1敗と今シーズンは勝ち越したが、同地区となれば必然的に試合数が増える。川崎同様、ビッグラインナップも可能となった帰化選手を擁する千葉や宇都宮ブレックスとのハイレベルな戦いが今から待ち遠しい。
残る2人は2位の三河から選出された。日本屈指のポイントゲッターである金丸晃輔は3Pシュート成功率44.8%、フィールドゴール成功率49.7%と昨シーズンよりも確率を上げている。平均17.9点から14.3点に下がったが、特にオフェンス面では厚みが増した新戦力たちの影響もある。平均23.4点で3年連続得点王になったダバンテ・ガードナーの存在は大きい。得点だけではなく、4.8本で自身のアシスト記録を更新した数字も見逃せない。
三河にとって、最初の20試合は5勝15敗となかなか勝てないシーズン序盤だった。しかし、ガードナーら新戦力がフィットしはじめたことでその後の21試合は13勝8敗と白星を増やしている。調子を上げていただけに、もう少し見ていたかった。中地区2位ではあるが、その勝率はリーグ全体で見れば11番目。昨シーズンはチャンピンシップ出場を逃している。来シーズンは西地区となる三河はチームケミストリーをさらに高め、常勝軍団復活に期待したい。
文 泉誠一
写真 泉誠一、三上太