球団記録タイとなる開幕6連勝中の秋田ノーザンハピネッツ。浜松・東三河フェニックス、青森ワッツをホームで撃破し、初のアウェイゲームとなった東京サンレーヴスとの初戦は90-59と31点差をつけて快勝。それまでは不安や不満が多かったが、この試合の後には「ようやく自分のチームらしくなってきた」とコメントを残した中村和雄ヘッドコーチ。続く6連勝目は、追いかける展開ながら最後の最後に#0富樫勇樹がファウルをもらい、フリースローを2本沈めて72-70、逆転勝利を飾った。しかし、不甲斐ない接戦に、憮然とした表情でそそくさとコートを去っていった。
その後、会見に現れた中村HCは……「前半はもう呆れてた」。不満なコメントが早くも復活である。
決まらない……3割を大きく下回る3Pシュート率
10月20日の東京戦での秋田の3Pシュート率は、たった18.2%(6/33本)。これまで6試合を合計しても26.4%と数字が伸びていない。逆に東京は37.0%でbjリーグトップの高確率。この試合も30.4%(7/23本)であり、秋田より成功本数は1本上回っている。「最後の時間帯まで、富樫は1/9本、大塚(裕土)は0/5本。相当3Pシュートの確率が悪い」と中村HCはお怒りだ。
どれだけ3Pシュートの確率が悪いのか?他のチームの確率と比べてみよう。リングから6.75m離れた3Pシュートだが、プロであれば成功率3割は越えていて欲しいところだ。ウエスタンカンファレンスを見ると、12チーム中10チームがその3割をクリア。NBLでは全12チーム10チームがクリアしており、東芝ブレイブサンダース神奈川(42.7%)、アイシンシーホース三河(40.8%)と東西首位チームは4割を越している。
最後に秋田と同じイースタンカンファレンスを見てみると……3割越えは11チーム中4チームに留まっており、総じて悪い。中村HCの言葉を借りれば、どのチームも「3Pシュートが練習不足」なのではないか。
6試合を終え、チームで一番多く3Pシュートを打っているのは46本で富樫。続く39本の#14大塚裕土。その大塚は、この日の試合では1本しか決めていない。しかし、その1本が東京ブースターの声援を悲鳴に変えた。残り時間は1分を切り66-67、1点を追いかける秋田。なお、時計は終了に向かって数字を減らす中、シュートポジションで待つ大塚にボールが回って来た。そのボールに触れる前までの大塚は、3Pシュートを5回外し、3度の2Pシュートも決めきれず、リングに嫌われていた。
試合中、コートサイドを走る大塚を呼びつけては、シュートのアーチのことや力を抜いて打て、と何とか気持ちを落ち着かせ、確率悪い3Pシュートを1%でも上げるように、中村HCはアドバイスを送り続けた。
逆に大塚は、「前半にシュートが決まらなかったことで、後半に入った時も落としたらどうしよう、と考えてしまっていました」と言い、入らないプレッシャーに押しつぶされていた。決めようと思えば思うほど、力んでしまうものでもある。残り時間が迫り、さらに力が入る場面。9回目のシュートチャンスであり、6投目の3Pシュートを放った。
「本当に何も考えずに打ったシュートという感じです。強いて言えば、決めることしか考えてなかったです」そう大塚が振り返ったシュートは、迷い無くリングに吸い込まれて行き、秋田が逆転に成功した。