初戦の新潟アルビレックス戦を皮切りに、栃木ブレックス、シーホース三河、川崎ブレイブサンダースを撃破して初の頂点に立った千葉ジェッツ。勝因として『勢い』という言葉が目に付いたが、その勢いを生み出したのは粘り強いディフェンスと果敢に飛び込むリバウンド。「我々は大会で1番ハイエナジーなチームを目指そう」という大野ヘッドコーチの言葉に応えた『気迫』は、間違いなくどのチームよりも勝っていた。
大野篤史ヘッドコーチ
就任1年目にしてオールジャパン優勝の栄誉を勝ち取った大野篤史ヘッドコーチ。シーズン開幕を前に「私がこのチームに来たのはいい意味でチームを変えるためです」と語っていた言葉を思い出す。選手個々の能力を伸び伸びと、そして、最大限に生かした手腕は見事だった。
#2 富樫勇樹
誰もが認める今大会のMVPと言っていいだろう。持ち前のスピードで相手を翻弄し、精度の高い長距離砲でチームを波に乗せた。昨シーズンは思うようなプレータイムがもらえず不本意な1年だっただけに本領発揮の今シーズンは「ここでプレーすることが楽しくてしかたない」――その気持ちが生んだアグレッシブなプレーは大会を通して見る者をわくわくさせた。
千葉ジェッツベンチ
スタメン出場で流れを作った#27石井講祐、富樫がベンチに下がった時間帯を積極的なプレーでつないだ#1阿部友和、ベテランビッグマンとしてゴール下で身体を張った#44伊藤俊亮、それぞれの選手が自分の役割をしっかり遂行したところに千葉ジェッツの勝利があった。今大会はケガで出番がなかった#11西村文男、#25荒尾岳、#22上江田勇樹が復帰するリーグ後半戦はさらに期待が高まる。
#34 小野龍猛
チームが優勢のときも劣勢のときも終始冷静さを失わずチームを支えた。千葉に移籍して3年、キャプテンとしてつかんだ優勝の喜びはひとしおだろう。
#33タイラー・ストーン
#16ヒルトン・アームストロング、#3マイケル・パーカーとともに相手の外国籍選手に思うような仕事をさせず、攻めては内外に小気味よく得点を重ねてチームを勢いづかせた。「タイラーは常に献身的にプレーしてくれた」と、大野ヘッドコーチの評価も高く、納得の『ベスト5』受賞だったと言える。
文・松原 貴実 写真・安井 麻実