プロになれるのは数%の選手だけのはず!運営会社同士の切磋琢磨で、“プロフェッショナルなチーム”が増えることが大事
── 宮崎という名が挙がりましたが、経営状況が思わしくなかったり、潰れてしまったりしたチームを経験してきたお二人は、Bリーグはどういうプロリーグになってもらいたいですか?
清水:本当に僕はいろんな経験をしています。給料が遅延したり……そういった経営をしているチームは、正直言って今後続けるべきではないです。2〜3カ月先ではなく、ちゃんと1年間の見通しを立てていなければ、選手にとってバスケットができる場は増えますが、生活できる環境ではありません。選手がストレスを味わいながらバスケットをするべきではなく、しっかりとした土台を作るべきではないかと思います。
これまでと同じような待遇のままでは、Bリーグとしても顔を潰すことにもなり兼ねないでしょう。しっかり土台を作った上でステップアップしていけば、Bリーグは繁栄すると思います。僕が小学校の頃からコロコロとリーグの名前が変わってきたようなことが無くなるよう願う意味で、しっかりとした土台を作って欲しいですし、身の丈にあったチーム運営からスタートすべきです。チームがB1~B3の環境に合ったところからスタートし、上を目指すのは良い仕組みだと思います。
青木:Jリーグやプロ野球と同じように、選手がしっかりと給料をもらうことで、一人ひとりの意識も変わるだろうし、そうなればお客さんも増えていくような環境面の向上も必要になるはずです。それはチームや選手だけではなく、テーブルオフィシャルやレフェリーなど、リーグに携わるすべてが向上しなければなりません。bjリーグの現状を言えば、普通なら「暴動が起きかねない」ような状況が実際に起きていて、そこは悲しいですよね。
── 11年間、試行錯誤しながらプロバスケットボール選手として全うしてきた中で、改めてプロバスケ像とはどんなものでしょうか?
清水:バスケットに集中できる環境が必要です。bjはまだ整っていないので、いろんな言い訳が生まれてしまいます。選手に限らず、運営側もしっかりプロフェッショナルとして、選手が言い訳をできないような環境づくりが必要です。コート外の振る舞いではなく、まずはコート上でのパフォーマンスに向き合うことが大前提です。
屋内競技であり、器が小さいのでファンと触れ合える距離が近く、盛り上がれるのは良いですが、コート外でも近すぎる部分があり、それはプロとしてはあまり良くないとも言えます。そういう面では、まだまだプロ意識が少ない選手も多いと思います。
でも、彼らがプロになれてしまう環境こそがいけないと思っています。誰でもプロになれるものではないんです、本当は。プロになれるのは数%の選手だけのはず……それはバスケットに限らず、すべてのプロスポーツにおいて、日本の人口のほんの一握りがなれる希有な職業です。しかし、バスケの現状においては(チーム数が増え)、人数合わせで簡単にプロになれてしまう部分もある。選手もそうですし、運営会社側もしっかりプロとして確立していかなければなりません。
1年目からプレーしている選手は本当に少ないですが、それぞれプライドを持ってコートに立って来たし、その思いは誰よりも強いと思っています。僕はその選手たちをリスペクトしていますし、できればリーグとしてもリスペクトして欲しかったです。
青木:本当にそう!
清水:Bリーグに変わるから、簡単にサヨナラ〜という感じにはなって欲しくなかったのですが……選手とリーグのお互いがリスペクトできる関係……Bリーグではそうなって欲しいです。
青木:どのチームも選手どうこうではなく、それを管理するのは会社です。その会社がしっかりしていれば、プロ意識も育つでしょうし、もっとbjリーグも良い方向に行ったはずです。厳しいかもしれませんが、これが現実であり、プロと言いながらもプロチームでは無かった部分が多かったということ。プロフェッショナルなメンタリティを持っていなかった選手が多いリーグになってしまったのが現状です。
BリーグになればB1は(運営がしっかりしている)限られたチームとなり、B3(※B3は別組織の運営で、プロ限定ではないリーグとなる)は、いくら福岡などプロチームが入ったところで、プロとは言えない状況となるでしょう。B2でも、その経営レベルに甘んじてしまい、1部を目指さないチームが出てくるかもしれません。それらも含め、運営会社単位で切磋琢磨することで、プロフェッショナルなチームが増えることが、日本のバスケット界にとって一番良いことだと思っています。たとえ、今よりも「プロ選手」が減ろうとも。あとは日本人のコーチが育たないとダメですね。
清水:それは間違いないです。選手の質や経歴に限らず、bjがあったことで台頭してくる日本人選手が出てきました。外国人選手の質も年々高まっている中、クビになってもすぐに就職先が決まってしまうのがコーチです。そこに競争が生まれることも、プロリーグとして大事なことの一つだと思います。