Photo by M.Yoshida
2015年12月27日(日)に、NHK-BS1で放送された『ストリートから世界へ~バスケット3x3 オールスター・ファイナル』をご覧になった方も多いだろう(28日に再放送)。同大会に出場した唯一の日本人選手であり、アジアNo.1のランキングが評価され、「TOKYO」チームを編成したのがWORMこと落合知也(大塚商会アルファーズ#91)だ。しかも、この番組では解説者を務めるなど、“ストリートバスケのトップランナー”を改めて印象づけた。
しかしながら、今回話を聞いたのは12月19日(土)のこと。NBDLレギュラーシーズン(つまり5on5)、東京エクセレンス戦のあとだった。3連覇を目指す強豪を相手にオーバータイムまでもつれる大熱戦。落合は約39分のプレータイムで14得点、7リバウンド、4アシスト、2スティールで勝利に貢献した(大塚商会92-90東京EX)。
経験を積むごとに強くなる責任感
──観ているほうはとても楽しい試合でしたが、やっているほうは大変でしたか?
落合:自分も楽しいと思いながらプレーしていましたよ(笑)
──ストリートで活躍を続けながらですが、大塚商会でのプレーは何年目?
落合:3年目です。チームの柱として頑張らなきゃ、という気持ちが年々強くなっています。チームでも年齢的には中堅以上ですし、今シーズンはプレータイムをたくさんもらっています。青木コーチやスタッフから、「チームをまとめるように」とか、「ハドルを率先して組むように」と言われていて、そういった面では自覚というか、責任感が大きくなりました。
──チームに入ったばかりの頃を考えると、今の自分の姿はいかがでしょうか? 「“プロとして魅せる”部分と、チームの一員としての役割に徹する部分が相乗効果で良くなってきた」と青木コーチからコメントをいただきましたが?
落合:本当ですか!? そこは自分でも感じています。好き勝手にやらしてもらってますし、本当に感謝しています。このチームだからこそ、さまざまなチャレンジができ、多くのキャリアを積みました。5on5での経験が増えた分、余裕というか、自信が付いてきた感じです。3×3オールスター・ファイナルの時もそうでしたが、シーズン中にチームを離れるにも関わらず理解していただきました。少しでも勝ち星を増やせるように頑張ることでしか恩返しはできません。年々その意識は高まっていますね。自分が活躍することもそうですが、ゲーム中だけでなく、練習への取り組みであったり、コート外での振る舞いであったり、責任ある行動をしなければいけないと強く感じています。
──NBDLという(5on5)リーグの中で、チームのために汗をかく。気持ちの面は自然と変わるものですか?
落合:自然と変わるし5人制のバスケだと、役割があるじゃないですか。そこは大事にしたいんです。本当だったらもっとシュートを打ちたいとかあっても……3on3でも、1on1でも、「もっと点を取る」というプレーに重点を置きますが──5on5なら、まずディフェンスとリバウンド、そこを求められていると思っています。「91」(NBA史上に名を残すディフェンダー&リバウンダー、1992-1998で7年連続リバウンド王に輝いたデニス・ロッドマンの背番号。もちろん、ニックネームはWORM)を背負っている以上、そこはゼッタイ! しかも今シーズンは「WORM」ってネームが入っているので意識せざるを得ない(笑)それは自分で自分にプレッシャーを与えているというか、1プレー1プレーの重みを背負っているつもりです。
──それはバスケを始めた頃から変わらない?
落合:中学の頃からロッドマンが好きで、「リバウンドが強いって、カッコいい!」って思ってました。4番にしてはあまりサイズがないので、そこでいかにリバウンドを取るかというのを考えていましたね。
──その思いを抱きつつ、ストリートではメンタルを鍛えられたわけですね?
落合:そうですね、いろいろ大きい舞台でプレーすることができました。その経験が生きていると思います。今シーズンは勝負どころでの1on1を任されたり、相手がファウルゲームに来たらボールをもらう機会、勝負する機会が多くなったり……それでも緊張することはないですし、逆に「よし、俺が決めてやる!」っていう気持ちになります。それはストリートでの経験が大きいと思います。
WORMを目指す、WORMの進化
──年間の試合数はかなり多いですよね?
落合:たぶん、日本一試合数をこなしている“プロプレーヤー”じゃないですか!? そこは自負しています(笑)
──今シーズンはお正月(オールジャパン出場が決定してる)も休みがない?
落合:マジ、正月もない(笑)でも、恵まれていると感謝しています。やりたくてもできたいプレーヤーはたくさんいます。トップリーグで活躍している選手からも「羨ましい」って言われることがありますから。いろいろなステージに出ていくわけですから、プライベートも疎かにはできません。自分で自分をコントロールし、ベストコンディションで臨むことが大切ですから。プロとして当然だと思っています。常に見られている……日本のバスケがもっと盛り上がるように、WORMという存在を知ってもらいたいですし、自分がどんなシーンでも活躍できるようにならければいけないと思っています。ユニフォームを着てコートに立つこともそうですし、それ以外でもメディアに出て行けるように頑張りたいですね。“常に上を目指す”……これは自分のモットーであり、バスケをやる続けるモチベーションになっています
大学卒業後、一時バスケから離れたもののストリートバスケで復活(!?)した。頑丈な体躯の持ち主が頭角を現したのは、フィジカルもさることながら、それ以上に強靭なメンタルがあればこそ。ストリートはもちろんのこと、5on5へと活躍の場を広げ、まだまだ進化の途中だ。2016年は元旦からオールジャパンのコートに立つ。NBDLでは現在2位のチームを優勝に導くため、ゴール下のプレーに磨きをかけているWORMが目指すゴールはまだまだ先にある。
NBDLオフィシャルサイト http://www.nbl.or.jp/nbdl/
オールジャパン2016特設サイト http://alljapan2016.japanbasketball.jp/
JBA 3×3オフィシャルサイト http://3×3.japanbasketball.jp/
3×3.EXEオフィシャルサイト http://exe.3x3league.com/