11月13日、14日にとどろきアリーナで行われた東芝ブレイブサンダース神奈川vsリンク栃木ブレックス戦は1勝1敗で星を分けた。1戦目、東芝神奈川に最大20点のリードを奪われたリンク栃木は4Qの猛追で4点差(67-71)まで詰め寄るも一歩及ばず。だが、2戦目は前日終盤に見せた勢いそのままに終始ゲームの主導権を握り89-67で快勝した。
絶対的司令塔・田臥勇太を中心にシューター古川孝敏、チーム3年目のトミー・ブレントン、ライアン・ロシター、成長著しい熊谷尚也など先発メンバーの安定度は高いが、この日、光ったのは途中からコートに出てしっかり自分の役割を果たすベンチメンバーの活躍だった。なかでも田臥のファウルが嵩んだ場面で「交代した渡邉がきっちり仕事をしてくれた」と、トーマス・ウィスマンHCが評価した渡邉裕規は“攻撃型PG”としての持ち味を発揮し勝利に大きく貢献した。
明るい性格で知られる渡邉はコートの内外問わずチームのムードメーカー。パナソニックトライアンズからリンク栃木に移籍して3年目を迎え、「今、このチームでプレーしていることが楽しくてしかたない」という渡邉に東芝戦を振り返りながら今季に懸ける意気込みを語ってもらった。
── 東芝戦は1勝1敗になったわけですが、敗れた昨日と勝った今日、勝敗を分けたのはなんだったと思いますか?
渡邉 敗れたとはいえ昨日も辻(直人)を4点、(ニック)ファジーカスを17点に抑えていますからディフェンスはそれほど悪くはなかったと思います。ただオフェンス面でちょっとエナジーが足りなかったというか、ポイント、ポイントで相手の方が闘争心が勝っていたかなという気がします。それが途中の点差になってしまったのかな…と。最後は4点差まで詰めましたが、追い上げるのも遅すぎましたね。だから今日は最初からハッスルして激しく戦っていこうという気持ちが強かったです。昨日と今日の1番大きな違いはやっぱりそういう気持ちの部分だったと思います。
── 今日は1Q5分に2つ目のファウルを犯した田臥勇太選手に代わってコートに出て、約20分のプレータイムで13得点(内3Pが3/4)の活躍でした。
渡邉 そうですね。シュートも気持ちよく打てました。僕が(交代で)コートに出るときは「点を取ってこい」と言われていますし、今日はまぁそこで少しは貢献できたかなぁと。
── 昨年のこの時期は先発メンバーとして起用されていましたが、今季ベンチスタートとなったことで戦い方の違い、難しさを感じることはありますか?
渡邉 難しさはめちゃくちゃ感じます。なにしろ田臥さんに代わって出るんですから(笑)
自分の持ち味は出さないといけないけど、自分が好き勝手にやっていいわけではない。古川(孝敏)と出ているとき、遠藤(祐亮)出ているとき、状況はいろいろですが、そのときコートにいる選手の特性というか、いいところを引き出すことは常に考えています。それと同時に自分も生きなきゃならない、そこが難しいところですね。
でも、思いきっていこうというのはいつも考えていることです。記者の方から「シックスマンになっちゃいましたねぇ」という言われ方をされることもあるんですが(笑)、自分としてはスタートだろうと、途中からだろうがやることが違うわけではないと思っています。もちろん、(途中から出るとき)チームの状態が重かったり、乗れていなかったりすることもありますが、その状況をよく見て、それに応じたプレーをしっかりすることは同じです。その状況でどういったプレーを選択するかが大切だということにも変わりはありません。
ただ1つ自分に言い聞かせているのは『田臥さんが出ているときと同じリズムでやってはいけない』ということです。