リーグ再編時、クラブの運営基盤などを加味した形で振り分けられ、這い上がるための戦いを強いられているB2。
昨シーズンまでNBLやbjリーグを主戦場としていたクラブにとっては、屈辱の2部リーグでもある。一方、同じ2部だったNBDL勢にとっては、トップリーグを経験してきたクラブを相手に苦戦が続く。NBDL3連覇を果たした東京エクセレンスは、中地区5位(14勝24敗)に低迷している。一方で、Fイーグルス名古屋は中地区首位を走り、山形ワイヴァンズも3位ながら東地区の上位争いに食い込む活躍を見せる。
現在、中地区3位にいるアースフレンズ東京Z。205cmのウィル・クリークモア選手がケガで戦列を離れている状況だが、成長できるチャンスと小野秀二ヘッドコーチは捉えていた。
「大阪からレンタル移籍してきた劉瑾が、これだけプレータイムをもらうのも始めてのことですし、今は勉強中です。島根(スサノオマジック)のような重い選手とマッチアップした時にどうしても体力負けしてしまいます。ただ、彼のおかげで良い勝負ができるようにもなってきました。戦い方次第ではどんな相手にも良い勝負ができる、勝てるんだという実感が選手たちにも出てきていると思います。ただ、一番大切な場面での戦い方が、最後のピースとしてまだ足りないところです」
小野ヘッドコーチは、日立(現サンロッカーズ渋谷)やトヨタ(現アルバルク東京)時代からディフェンスを軸にチームを作ってきた。身長差を補うハードなディフェンスでギャップを埋めて、東京Zも勝利を目指している。188cmでパワーフォワードを務める高山 師門選手も、ディフェンスでは体を張り続けなければならない。キャプテンでもある高山選手に、B2の戦いから見える東京Zの現状を伺った。
開幕当初、B2で戦うためのスタートラインにも立てていなかった
ーー 残念ながら島根に2連敗を喫してしまいましたが、今のチーム状況をキャプテンとしてどう見えていますか?
すごく良くなっているというのがチーム全体に感じていることですし、自分自身としても感じています。しかし、練習中から出ている甘さやミスが、試合にもつながってしまっているのが現状です。島根戦も練習中に起きたミスがそのまま出てしまい、勝負どころの弱さも練習でダメだった部分が出てしまったと感じています。
ーー 明確になっている課題さえ改善できれば上向く可能性があると前向きに捉えられるのでは?
そうですね。練習中からそこを厳しくは言ってるのですが、まだまだ徹底できていません。ただ、課題は明確に見えているので、良くなる可能性もハッキリしています。
ーー ディフェンスは体を張っており、リーグ1位の島根を相手にも、特にオンザコート1の時間帯に上回れていたのは自信につながるのでは?
ディフェンスもオフェンスも、チームとして良くなっていることをみんなが実感しています。でも、チームで守るとは言ってもやっぱり個人個人がしっかりがんばって守ることが最初にあり、その上でのチームディフェンスです。自信に持つ部分はありますが、まだまだ詰めの甘い部分がたくさんありますので、練習中からしっかり修正していきたいです。
ーー 元々NBDLという2部リーグだった東京Zですが、昨シーズンまでNBLやbjリーグで戦っていたクラブもいる中でレベルの差などは感じていますか?
練習でやってきた自分たちのバスケットをどれだけ表現できるかが大事だと思っています。今のところ、相手がどこだからというよりも、自分たちのミスなどから崩れて負けてしまっているパターンが多いです。自分たちのバスケットをいかに正確にできるかが求められており、それが徐々に良くなってきていると思います。
ーー これまで負けてしまったり、自分たちのバスケットが出せなかった時は、相手と同じレベルに達することができなかったとも言えるのでしょうか?
そうですね。一番最初はB2で戦うためのスタートラインにも立てていなかったと、個人的には思っていました。やっと自分たちのバスケットや個々の役割がハッキリしてきたことで、チームとして同じレベルで戦えるようになったという実感はあります。
厳しく、やれることを最大限やっていくだけ!
ーー 東京Zは若いチームであり、まだまだ経験値が足りない中でのキャプテンとしての役割は?
これまでと役割は変わらないと思っていましたが、キャプテンになったことで調和というか、まとめ役として優しくなってしまったり、甘くなってしまった部分が少しあったと感じていました。より厳しくしないといけないですし、それはこれまでやってきたことでもあり、ブレてはいけないところです。その反省を踏まえ、今ではしっかりと厳しくしています。選手それぞれの仕事があるわけですから、甘いところは指摘していかなければならず、その厳しさはより明確にやっていこうと思っています。
ーー 同じプロバスケ選手としてB1の盛り上がりはどう見えていますか?
すごくうらやましいです。たくさんのお客さんが歓声を上げ、時には悲鳴を上げながら一喜一憂してくれて、勝った時にはみんなで笑顔になる。あの環境はやっぱり最高ですよね。早くその舞台に立ちたいです。もちろんB2でも同じような環境は作れるとも思っています。そのためにも、目の前にあることを全力でやり続けるしかない。その積み重ねだと思います。
ーー Bリーグとなったことでの変化は何かありますか?
Bリーグができたおかげで、新しいお客さんが多く会場に来てくれるようになり、上向いてるとは思いますが、それでもまだまだバスケット自体はマイナーだとも感じています。今は自分たちのやれることを最大限に考えて、やっていくしかありません。まずはB1昇格を目指して、目の前のことにしっかりと取り組んでいくだけです。
東京Zの平均年齢は26.7歳であり、キャプテンの高山選手も26歳とまだまだ若い。それゆえに「ターンオーバーが出てしまったり、イージーショットを落とすところがやはり一番の課題点です。そこがトップにいるチームとの大きな差でもある」と小野ヘッドコーチは挙げている。逆に言えば、「その課題を我々が練習で向上させていけるかどうか」と小野ヘッドコーチも、高山キャプテンも練習を大切にしていた。
現在フィールドゴール39.9%という確率と同じように、練習の成果を試合で100%出すのもまた難しいチャレンジ。その確率を上げることもさることながら、練習の質を上げていくことも合わせて取り組んでいかねばならない。
B1昇格を目指してしのぎを削り合っている試合の中から、自ずとレベルが引き上げられていくことだろう。次節は元日本代表選手も多い広島ドラゴンフライズとの戦いが待っている。
来月号のバスケットボールスピリッツVol.6では、23歳の若きエースの渡邊 翔太選手と特別指定選手で入団した柏倉哲平選手の対談を掲載。お楽しみに!
文・写真 泉 誠一