関東リーグでは筑波大、東海大からも1勝を奪い3位の成績を収めた白鷗大は、インカレでも慶應大、早稲田大を相手に残り2分からの逆転劇を演じた。200cmを超す2人の留学生に注目が集まりがちだが、この1年キャプテンとしてチームを牽引した川邊亮平、ムードメーカーとして仲間を鼓舞し続けた川島蓮の存在は大きい。準決勝の東海大戦には敗れたが、専修大を破ってしっかり3位を勝ち取り「白鷗の歴史をつくることができた」と、胸を張る2人の4年生は頼もしかった。
――まずは3位入賞おめでとうございます。
川邊 ありがとうございます。個人的には力を出し切れていない部分があって、そこはちょっと不完全燃焼なんですが、チームで勝ち上がって白鷗の歴史を塗り替えられたのは良かったです。すごく嬉しいです。
川島 準決勝で東海大には負けてしまいましたが、専修大にはリーグ戦でも勝っているので(3位決定戦でも)絶対勝てると思って臨みました。みんなの力で3位を勝ち取れて本当に良かったです。
――唯一敗れた東海大戦の敗因はなんだったと思いますか?
川邊 3ピリオドまでは追い上げムードもあったんですが、4ピリオドに入ってから粘れませんでした。準々決勝(早稲田大戦)でもその前の慶應大戦でも最後まで粘って逆転できた試合でしたが、準決勝ではそれまで入っていた自分たちのシュートが相手に読まれていたことで楽に打てなくて、そこで集中力が切れてしまった感じです。我慢が足りなかったというか。集中力という点では相手が上回っていたような気がします。
川島 あの試合は自分たちのイージーシュートが入らないことでみんながイライラしてしまいました。東海のディフェンスはやっぱり強くて、リバウンドも最後まで徹底してやります。そこに差が出たと感じています。悔しいけど徹底してやり抜く力は東海の方が上回っていたと思います。
川邊 東海のディフェンスはリーグ戦と全然違いました。ボールスクリーンに対してのディフェンスも今までよりずっと当たりが強かったし、大矢(孝太朗・東海大4年)なんかも気持ちを全面に出してディフェンスしてきて、そういうところはリーグ戦よりずっと強くなっていました。それに対して自分たちはリバウンドが思うように取れなかったこともあるんですけど、オフェンスが単調になってしまい、いつもならやらないようなことをやっちゃってそれでリズムが狂ってしまった感じです。白鷗らしさが発揮できませんでした。
――チームの持ち味『白鷗らしさ』というのはどんなところですか?
川島 やっぱり4ピリオドに走れるということじゃないですかね。4ピリオドで逆転して勝つ試合が多くて、残り3分で逆転するから『ウルトラマンみたいなチーム』と何かに書かれたこともあったし(笑)。脚力を鍛えるために練習ではめちゃくちゃ走って、夏の合宿でもとにかくずっと走ってました。しつこいようですが、ほっんとに走りました。その成果がチームの持ち味として出ていたと思います。
川邊 あと結構メンタルが強いというか、よーし、やってやる!という気持ちの強い選手が多いと思います。
――その中で自分が担う役割とは?
川島 ルーズボールもディフェンスもリバウンドも誰より泥臭く頑張るところです。
川邊 こいつはコートの外でも中でもめっちゃ明るいチームのムードメーカーです。ちょっとバカですが(笑)
川島 おまえにバカと言われたくない(笑)こいつは普段ほんとに頼りない男で、キャプテンなのにみんなからいじられています。チームのいじられキャラですね。だけど、コートの中では頼りになる。安心してパスを出せる選手です。
川邊 自分はスタートじゃなかったんですが、スタメンのやつらがいつも頑張ってくれるおかげで交代で出るときも勢いを味方にできるようなところがありました。でも、時にはスタートメンバーの調子が悪いときもあるわけで、そういうときは交代で出る自分がどう流れを呼び込むか、それが自分の仕事だと思っていました。
――それぞれ4年間を振り返っての感想は?
川邊 1年から試合に出させてもらったんですが、2年のときは入替戦も経験したし、栃木の水害で練習ができなくなってしまった時期もあったし、ほんとにいろんなことがあって、よく「おまえらは不運な代だったなあ」とか言われたんですが、不運なことがあったからこそみんなの気持ちが1つになって、最後に結果を残すことができたと思います。自分は4年間白鷗でバスケができて本当に良かったです。
川島 自分は1年のときは試合に出れなくて、2年のときもそんなに出れなくて、3年のときはほぼ出れなくて、4年になってようやくプレータイムをもらえるようになりました。プレーできることが嬉しいというのもありますが、自分は何事も楽しくやりたいと思っているので、チームの雰囲気を良くするためにもコートの中でも笑顔でいることを心がけていました。今年のチームは留学生のイッサ(#23パイセイディ・イッサライジャニ)を含めてスタメンの3人が4年生で、交代で出るのも4年生が多くて、4年生の自分たちが支えているという意識はありました。思えば自分たちは1番怒られた代です。怒られて、怒られて成長できた代でした。だから余計に嬉しいというか、ここでこの仲間と4年間頑張れたことは幸せだったと思います。
文・松原 貴実 写真・泉 誠一