今季の大東文化大は2部全勝優勝を果たし、続く入替戦でも圧倒的強さを見せつけて1部昇格を決めた。その勢いを発揮して『台風の目』となる戦いぶりに期待したファンも多かったはず。東海大との2回戦は大会序盤戦の注目カードとなった。試合は終始互角の展開を見せ、前半を終えた時点で大東文化が30-26と一歩前に出る。しかし、後半に入ると東海大の堅守の前に苦戦、逆転を許し背負ったビハインドを覆せないまま61-65で敗れる結果となった。久々に味わった『負け味』に「すごく悔しい」と唇を噛んだのは、この試合で15得点、5アシストをマークした熊谷航だ。2年生らしからぬ冷静さと、内に秘めた負けん気を併せ持つ司令塔。来季の大東文化大の浮沈のカギを握る存在と言っていいだろう。
――残念ながら敗れてしまいましたが、強豪チームである東海大に果敢に挑んだ一戦だったと思います。戦った感想を聞かせてください。
自分たちのバスケットをすれば勝機はあると思っていましたが、やはり勝負所でのリバウンドだったりシュート力だったりというのは相手が上でした。それでも下級生主体のうちのチームが、東海大といい試合ができたのは自信につながったと思います。敗因はどんなところにあったのかを見直して、それを課題としてこれからの練習に生かしていけば来シーズンは1部でもいい結果が出せるんじゃないかと思います。
――今年は2部で全勝優勝を果たし、入替戦も大差で勝って1部昇格を決めました。『負け味』を忘れていたのではないですか?
忘れていました。だから、この負けがよけいに悔しいです。自分は感情をあまり外に出さない方なんですけど、人1倍負けず嫌いなんです。たとえばマッチアップしている選手にシュートを入れられると「絶対入れ返してやる!」と思うし、いつもそういう気持ちでプレーしています。負けるってことはやっぱり本当に悔しいですね。
――今年の大東文化大の持ち味は?
目標にしていたのはブレないディフェンスです。ディフェンスからのリバウンド、ディフェンスからの速攻というようにまずはディフェンスを頑張るチームというのが持ち味だと思います。
――そのディフェンスを含めて、この1年自分の仕事は全うできたと思いますか?
全うできたと思います。やはりスタメンが下級生だということもあって、僕のポジションは声を出して引っ張っていかなきゃならないのですが、試合中もモッチ(#15モッチ・ラミン)やビリシベ(#91ビリシベ実会)に声をかけて落ち着かせたり、そういう仕事はできたのではないかと自分では思っています。
――2年生の自分がコートの上でそういう役割を果たさなくてはならないことは難しくなかったですか?
いえ、そういうのはあまり感じませんでした。たとえばモッチなんかもこっちが言うことを素直に聞いてくれますね。向こうもいろいろ言ってくるんですけど、まずはそれを聞いて、「そこはわかったけど、ここはこうしてほしい」とかいうように話せばちゃんと理解してくれます
――この大会で4年生は引退となります。伝えたいことはありますか?
4年間お疲れさまでした。そして。本当にありがとうございましたと伝えたいです。キャプテンの花井さん(#68花井大悟)はコートの外でもみんなに声をかけていろいろ話してチームを1つにしてくれました。本当に感謝しています。4年生の皆さんがいなくなっても大丈夫なように普段の練習の質ももっと上げていかなければならないと思っています。トレーニングもまだ全然足りてないし、気持ちの面もそうですし、試合に入るまでの過程をもう1回見直して頑張っていきたいです。
――来シーズンは1部の舞台で勝負することになりますね。
はい、今年やったことを来シーズンもしっかりやって、個人的には勝負どころでのシュートとかみんなが困っているときの1本とか、そういうプレーを見せられるようにしたいです。今日の負けは本当に悔しかったし、それは全員そう思っていると思うので、この悔しさを忘れずチームとして成長していきたいですね。目標は1部優勝です。
文・松原 貴実 写真・泉 誠一