昨年の大会で3位を勝ち取った拓殖大学が、1回戦で名古屋経済大学に敗れた大会2日目。青山学院大を向こうに回し次戦を戦う仙台大の選手の胸には「よし、俺たちも続こう」という思いがよぎったのではないだろうか。8-4とリードを奪う好スタートを切り、その後逆転を許すも必死に食らいついていく粘りのバスケットを見せた。チームの柱となる#18中村優斗は40分フル出場し19得点をマーク。アップセットこそ成らなかったが、「持てる力は出し切りました」と、語る表情は清々しかった。
――敗れはしましたが、最後まで粘りを見せた好ゲームだったと思います。どんな気持ちで臨まれたのでしょう。
青学大は関東1部の名門チームで技術もうちより上なのは間違いありません。だから、今回はチャレンジャーとして臨みました。しっかりディフェンスから入って、オフェンスでは相手の隙をついて速い展開のゲームに持って行こうという気持ちがあって、とにかくみんなでハッスルプレーをしようと話していました
――青学大のバスケットは研究してきたのですか?
はい、一応リーグ戦のビデオをみんなで見ました。ディフェンスをきっちりやってくるチームだという印象で、そこをどう崩していくかを課題の1つとして練習に取り組んできました。
――その成果は発揮できましたか?
そうですね、とにかくあきらめず食らいついていき、相手の隙を逃さないで攻めるということは少しはできたのではないかと思います。ただ青学大のディフェンスは(ゲームが)競ってくるとより強度を増してくるというか、そういうところはさすがだと感じました。あれはやっぱり地方にはない関東1部のディフェンスだなあと思います。
――今年の仙台大の中で自分はどんな役割を担っていたと考えていますか?
自分は193cmとチームの中ではサイズがあり、中も外もやらなきゃいけないポジションだと思っています。リバウンドでは積極的に飛び込むことを考え、ディフェンスでもオフェンスでも流れを見て臨機応変にプレーしてチームを引っ張っていけるよう心掛けていました。インカレ出場がかかったリーグ予選の試合だったり、インカレ本番で今日のように関東のチームと戦う試合だったりで自分のプレーを振り返ると通用している部分もあり、4年間で少しは成長できたかなという気はします。
――卒業後の進路は決まっているのですか?
はい。関東の実業団に入ってプレーする予定です。
――大学がある仙台には『仙台89ERS』というプロチームがあります。観戦に行ったことはありますか?
地元にプロチームがあることは嬉しいし、応援もしています。もちろん観戦に行ったこともあります。やっぱりBリーグ1部のチームのプレーはすごいなと思いますね。自分はプロではなく実業団チームでプレーする道を選びましたが、地元にプロチームがあることで「プロとしてやってみたい」と思う選手はきっと出てくると思います。
――これで大学のバスケット生活が終了したわけですが、最後はキャプテンも務め充実した1年だったのではないですか?
そうですね。さっきも言ったように4年間を通して自分なりに成長できたと思うし、最後はこうして関東1部のチームと戦うこともできたし…。欲を言えばもっともっと粘って勝ちたかったという思いもありますが、これが最後の試合になるかもしれないという気持ちが積極的なプレーにつながりました。勝てなかったけど力は出し切りました。このチームで4年間プレーできて本当に良かったです。
文・松原 貴実 写真・泉 誠一