毎年2月から3月中旬にかけて、Bリーグでは選手登録期限前の駆け込み補強が行われる。今シーズンに関しては、今のところ最も大きなインパクトを与えたのは千葉ジェッツ・トビンマーカス海舟の東京ユナイテッドバスケットボールクラブへの期限付移籍だ。FIBAブレイクの間もレギュラーシーズンが進むB3において、トビンは早速第21節のヴィアティン三重戦に出場。そのGAME2では千葉Jの面々がコートエンドで声援を送る中、13分6秒の出場で20得点を叩き出し、ゲームMVPに選ばれている。翌週の新潟アルビレックスBB戦もトビンはGAME1で16得点。チームも39点差の勝利となれば、必然的にトビンのテンションは高い。
「楽しかったなぁ。40分ディフェンスがめっちゃ良かった。東京ユナイテッドのディフェンススタイルはオールコートプレッシャー。若いときもアメリカでこういうディフェンスして、スティールしてダンクとかレイアップしてたから懐かしいし、超楽しい!」
トビンが言うように、高い位置からプレッシャーをかける連動したチームディフェンスが東京Uの持ち味。チームに合流して間もないトビンは、リーグ2位につける東京Uの強さの秘訣を「オンザコートケミストリー」と語る。この日、リース・ヴァーグがチームトップの17得点を挙げたことにも、それが表れているという。
「このチームは普通にコミュニケーションもするけど、コミュニケーションがなくてもちゃんとできる。みんな同じ考えをつなげてやってるのがすごいと思います。『今日はリースの番だな』と思ったら、みんなも同じ考えで、リースのためにプレーを作って、いいチームワークができる。コーチも選手たちのプレーコールを信じてるし、ジェッツとすごく似てると思います」
トビンは「まだ慣れてないことはあるけど、チームメートたちが素晴らしくて、いつも僕のことを手伝ってくれるからプレーがわかりやすい。みんないい人で、オフザコートもすごく優しい。8月からずっと一緒にやってるみたい」と居心地の良さを語るが、コミュ力ならトビンの右に出る者は簡単には見当たらない。編成の責任者でもある宮田諭はトビンにオファーを出した第一の理由として人間性を挙げる。
「バスケットはチームスポーツなので、リクルートに関してはチーム力が上がることが全て。どんなに良い選手をコートに5人送り出しても、それで勝てるわけじゃない。必要と思えるのは、チームのスタイルにコミットできる人。チームのためにハードワークできる選手、他の人を尊重できる選手を獲りたいんですよ。ジェッツの試合も見に行って、彼がコートに立つのを見ることは少なかったですが、アップのときのポジティブな姿勢やベンチでの振る舞い、周りの人に話しかける様子を見ると、チーム力を上げるためにこんなに良い選手はいないなとずっと思ってたんです。もう一つはやっぱり選手としてのポテンシャル。若くて能力が高くて、向上心もあってアグレッシブ。ジェッツの練習でも成長できると思いますが、経験以上に人を伸ばすものはない。うちなら試合の経験も積ませられるし、僕としても彼に伝えられるものがあると思ったんです」